レース回顧

2016年4月 6日 (水)

大阪杯で改めて感じた横山典騎手の凄さ

先週日曜日に阪神競馬場で行われたGⅡ第60回産経大阪杯。

GⅠ級の馬が始動にあたり選ぶことが多く、レベルの高い内容が期待されるため、頭数こそ多くはありませんが毎年とても注目されるレースです。

今年も11頭立てでGⅠ馬が5頭参戦、春のGⅠ戦線に向けてそれぞれどんな競馬をしてくれるのか楽しみにしていました。


そしてこのレースを制したのはGⅠ未勝利ながら2番人気に支持されたアンビシャス

結果的に上位2~6着を占めたGⅠ馬5頭は力があることをあらためて証明したわけですが、その中で堂々たる勝利をおさめたアンビシャスの力もGⅠレベルにあるということでしょう。

折り合いがカギとなる馬で、これまでに出走したレースでは大抵が中団もしくは後方にポジションを取り、終いの脚にかける戦法で好走していました。

しかし今回アンビシャスの手綱をとったテン乗りの、調教でも跨ったことがない横山典騎手は、好走してきたこれまでの乗り方ではなく、2番手につけてゴール寸前で逃げ馬を捕らえるレース運びをして見事に勝利をあげました。

この乗り方は自ら調教師に進言したようで、以前からアンビシャスの走りを見ては、自分が乗れるものなら先に行くレースをしてみたいと考えていたのでしょう。

しかしたとえ調教師を説得し思い通りの乗り方をさせてもらっても、言葉にした以上はある程度の内容、つまり勝てば最高、または勝てなくとも次につながる今までにない好走という、所謂“結果”を出さなければ、オーナーや調教師の顔を潰すことになり騎手としての信用を失ってしまいます。

それをきっちりと勝ってみせるのだから、いまさらながら横山典騎手の凄さを感じます。

長年の経験で培った騎乗技術は誰にも真似できない彼だけのもの。

調教師も、このベテランジョッキーの腕を100パーセント信頼しているからこそ要望を受け入れ、お前の好きなように乗ってこいと大事な馬を託してくれたのでしょう。

馬の力とジョッキーの腕、そして陣営の努力が最高の結果を生み出した素晴らしいレース内容でした。


2着は昨年の菊花賞馬キタサンブラック

逃げると予想されたマイネルマクリマを制し、自らハナを奪いレースの流れを握りました。

スタートの出し方から、次に馬を出す動作と、主導権を握るためには当然マイネルマクリマと競っていかなくてはならず、そのように乗れば必然的に馬はかかりやすくなります。

それなのに長手綱で馬を怒らせることなくハナに立てたのは、鞍上・武豊騎手の卓越した騎乗技術があってこそ。やはり上手いですね。

その後スローに落として上がり33.6秒の脚を使い、このまま逃げ切れると思ったのですがゴールまであと少しというところでアンビシャスにクビ差抜かれてしまいました。

ただ十分に能力は発揮できたうえ、次走に向けて大きな期待を抱かせてくれるような良い走りでした。


3着には一昨年の秋華賞・昨年のジャパンCを制した牝馬ショウナンパンドラが入りました。

今回はいつもよりスタートを出していき、中団につけてレースを進めましたが、これは次走マイル戦を予定しているためにそのような乗り方をしたとコメントがありました。

逃げや追い込み一辺倒の乗り方では限界がくるときがやってきます。

レースの幅を広げるためには実戦で試してみないとわからないことも多々あります。

現在出走するレースが大事なのはもちろんですが、今回勝ちさえすれば良いと無我夢中で乗るのではなく、馬の先々のことを考えて騎手はレースに臨んでいるのです。

プラス14キロでいくらか重め残りだった馬体も、次走ヴィクトリアマイルの頃にはすっきりとして、勝ち負けになるほどの見事な仕上がりになっているでしょう。

GⅠの大舞台で、ぜひとも最高の状態で最高の走りを見せてほしいものです。

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2016年3月30日 (水)

短距離路線に新たなスターが誕生

あちこちで桜が開花し始めた先週日曜日、中京競馬場では春のGⅠシリーズ第1弾・第46回高松宮記念が行われビッグアーサーが優勝、初めての重賞勝利がGⅠという大変嬉しい結果となりました。

デビュー戦を快勝後に10か月の休養を挟み、復帰してからも4連勝。

これまでに10戦して〔6.2.1.1〕と掲示板を外したことがない成績を見るだけでも、かなりの素質馬ということがわかります。

重賞未勝利とはいえこの馬ならばGⅠの大舞台でも勝ち負けになると陣営は確信をもっていたはずで、万全の状態でレースに送り出してきました。

ただ、単勝1番人気には驚きました。全く同じ3.9倍の単勝オッズで人気を分け合ったミッキーアイルはやはりGⅠ・NHKマイルCを含む重賞5勝の、GIの舞台でも1番人気の推されるだけの圧倒的な実績、しかしビッグアーサーはGIどころか重賞未勝利ですからね。

それだけ関係者の間でも評判だったという証でしょうし、それに相応しい圧倒的な勝ち方でした。

この高松宮記念は逃げ宣言したローレルベローチェハクサンムーン、そして逃げれば8戦7勝ミッキーアイルと、高速馬場で速い決着になるのは必然であり、実際に勝ち時計は1分06秒7のレコードだったのですが、こういう馬場ではスピードの絶対値が高くなければ好走は望めず、追い込み脚質の馬にはとても苦しいレースとなりました。

この流れを読んでいたのか、ビッグアーサー鞍上の福永騎手はスタートを決めると、先に行った逃げ・先行馬3頭を先に行かせてから少し距離を置いて、前にいる馬たちのペースに乗ってしまわないよう一歩引いて追走していました。

この位置取りが最高でした。勝つべくして勝ったとしか言いようがありません。

ハイペースにもかかわらず4番手でピタリと折り合いがついて手応えは楽々、あと騎手がすることは抜け出すタイミングを計るのみと、余裕すら感じさせるビッグアーサーの走りに、鞍上はさぞかし楽しくレースができたのではないでしょうか。

福永騎手がこの馬とコンビを組んだのは初めてですが、とても息が合って乗りやすそうな感じでした。

きっとビッグアーサーは脚だけでなく気性・レースセンスなど全てが優れているのでしょう。

今年の短距離戦線に新たなスターが誕生しました。


2着にミッキーアイル。

逃げて好成績を残してきた馬ですが、ローレルベローチェの方がスタートが速く先に行かれてしまい、自分のペースに持ち込めなかったことが敗因でしょうか。

ローレルベローチェとハクサンムーンを前に置き3番手でレースを進めましたが、ゲートを出していった分この2頭の競りに加わってしまい、リズムを崩してしまった印象を受けました。

それでもさすがに能力はこのGⅠレースのメンバー中でも1,2を争う馬だけに、直線に向いてもバテず、一度は先頭に立つなど見せ場は十分。

ゴールまで粘り込めるかというところで勝ち馬に差され3/4馬身つけられてしまいましたが、底力は見せてくれました。

勝負で“たられば”が禁物なのは承知ですが、もしも逃げる選択をせずに好位で良しという考えで騎乗していれば、本当にきわどい勝負になっていたかも知れません。

スタートで出していったことで気持ちが入り過ぎ、それが力みとなって消耗し直線の末脚に影響したように思います。

今回に限らずミッキーアイルは、それまでのように、はじめから好位でのレースをするように乗ってみれば、脚質の幅が広がってさらに強さが増すのではないかと、改めて思いました。

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2016年3月23日 (水)

皐月賞へ向けての最終便スプリングS

皐月賞トライアル・第65回スプリングステークスが先週、中山競馬場で行われました。

まず注目していたのが、昨年の新潟2歳Sを制し、前走ホープフルSでも2着に好走したロードクエストです。

レースは後方2番手から進めて折り合いも悪くなく、初騎乗となる池添騎手との相性も良さそうで全く問題のない内容でしたが、勝負どころから仕掛けだし反応良く伸びてきたものの前の馬と脚いろが同じになってしまい届かず3着に終わりました。

新潟2歳Sや前走のような、追ってからのインパクトある伸び脚が今回はあまり感じられず、ペースやポジションなど様々な要素が絡むとはいえ基本的には距離が少し長いかもしれません。

ただやはり地力がある馬なので、こうして重賞で上位に入る安定した走りができるのは強みですね。

次走は皐月賞へ向かい、その後は皐月賞の結果次第でしょうが、ダービーよりもNHKマイルCの方が勝ち負けになると思います。


優勝した4番人気マウントロブソンは、重賞ウィナーのロードクエストとは違い賞金の面で余裕がないため今回のスプリングSは絶対に皐月賞優先出走権が欲しいところ。

この馬については、他のメディアでも書いたことがありますが、実はデビュー当時から注目していて、もちろん今回も注目していました。

ローカルの小倉500万下を勝ったばかりですが今回の出走メンバーに入っても十分に通用すると考えていました。

デビュー戦とその次のレースで2着が続いたことが陣営にとってはおそらく予想外というほどの馬なので、年末に未勝利を脱出したあとは慎重にレースを選んだのでしょう、前走の小倉500万下特別レースを“確実に勝ちにいった”あとの今回のトライアルも3着以内が絶対条件と傍から見れば厳しいことのように感じますが、陣営には勝算があったのだと思います。

馬にかける期待と自信が伝わってくるような出来でした。

直線に向いた時には届かないと思いましたが追ってからの伸びが抜群で、クビ差捕らえたところがゴール。

ディープインパクト産駒らしい終いのしっかりした脚はこの先も大きな武器となるでしょう。


そしてスプリングSで得られる優先出走権、あと1つは2着に入った5番人気マイネルハニーが手にしました。

好スタートからハナを奪うと、速くもなく遅くもない平均的なラップを刻む、鞍上の柴田大騎手が良い逃げをしましたね。

直線に向くと後続を待たずに自ら動いて仕掛けだし、後ろの馬群をスッと引き離していきました。

この判断が大正解。逃げ馬というのは、直線に向いたらゴール板目指してひたすら逃げ込むことを第一に考えなければなりません。

他馬の動きなどには目もくれず、自分の馬の能力を最大限に発揮させようとした柴田大騎手がベテランらしい好判断・好騎乗で魅せてくれました。


もう1頭注目していた2番人気ミッキーロケットは、これも非凡な能力を持つ馬なのですが、今回はゲート内でチャカチャカしていたせいかスタートで出遅れて最後方からのレースになってしまいました。

普通はこの位置からでは厳しいですね。

競馬はスタートひとつでポジションや流れなど全てが変わり、明暗を分けます。

今回はレースに参加できていなかったこと、メンバー中最速の上がりで結果的には5着にきていることなど、負けたとはいえ悲観することはなく、あらためて期待したい馬です。

これで全トライアルが終了し、それぞれがクラシックの舞台に挑みます。

3強ムードの皐月賞で割って入れそうな馬が出てくるのか、それともやはり上位人気馬の優位は揺るがないのか、これからじっくりと見定めていきたいと思います。

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2016年3月16日 (水)

シュンドルボンを導いた吉田豊騎手の選択

先週日曜日のメインは東西ともに牝馬の重賞。

中山競馬場では第34回中山牝馬ステークスが行われ4番人気シュンドルボンが優勝し、初重賞勝利をあげました。

重賞経験は今回がまだ3戦目という5歳馬ですが、昨年1年間の成績を見ると条件戦とはいえ9戦し7連対(うち3勝)は大したもので、こういう堅実な走りができるのは素質があるからこそ。

いよいよ本格化してきたということでしょう。

レースは16頭立ての16番枠、大外からのスタート。

中山の芝1800mコースは1コーナーまで距離がなく、外枠であればあるほど外を回され不利なレース運びを強いられますが、鞍上の吉田豊騎手は中団につけ1コーナーはそれほど振り回されることなく無難に乗り切りました。

彼にとってはここが1番のポイントだったと思います。

コース取りで後手に回るか、またはうまく切り抜けられるかによってその後の展開はまるで変わってきますからね。

大本命馬であるルージュバックが隣の15番枠に入ったのも大きかったですね。

メンバーで最も目標としたい馬が目の前にいたおかげで、マークする形でレースを運べたことは、自分が騎乗している馬に十分な手応えがあることが前提ですが前の馬に合わせて動くことができるので、かなり乗りやすかったのではないでしょうか。

あとはルージュバックが動き始めるまで吉田豊騎手がじっと我慢していたのも勝因の1つ。

最後の直線で並びかけてゴールでクビ差出られたのは、馬自身の調子の良さ、そして騎手が道中うまく乗って脚をためたからだと思います。

見事なレース運びでした。


断然の1番人気ルージュバックは残念ながら2着に敗れましたが、戸崎騎手の騎乗には問題がなく、むしろ上手く乗れていたと思います。

ただ、シュンドルボンにマークされてしまい負けたことは仕方ありませんが、牡馬相手に圧勝した昨年のきさらぎ賞の頃は直線追い出すと弾けるように伸びていたのが、今回のレースでは追ってから昨年のキレがあまり感じられずモサモサして見えました。

それでも2着に入るのだからやはり力があります。

競走中に左前を落鉄したらしいのでそれが影響し伸びなかったか、あるいはハンデ差に加え中山の急坂が堪えたのか、いずれにせよ敗因としてはこのあたりでしょう。

これから暖かくなり調子もさらに上向いてくることと思います。


阪神競馬場では桜花賞トライアル、第50回フィリーズレビューが行われました。

桜の舞台への切符を手にしたのは8番人気のソルヴェイグ

2番枠の内枠に恵まれ、好スタートからそのまま好位のインをロスなく追走、逃げ馬を見る形で直線に向いて、逃げ馬を捕らえたところがゴールでした。

追ってしっかりとした脚を使い、じつに良い伸び。

とはいえ今回の勝利は展開が味方してくれたとの印象が強いですね。


1番人気アットザシーサイドは後方待機、直線は最速の上がり34.4秒の脚で追い込んできたものの2着まで。

今回のフィリーズレビューを見た感想として、メジャーエンブレムを負かすには今回のメンバーでは難しいように思いますが、反面、本番までに馬がどれだけ成長するか、ジョッキー達がどんな作戦を練ってくるのかが楽しみでもあります。

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2016年3月 9日 (水)

抜けた3頭がやはり上位3着を独占

皐月賞のトライアルレース第53回弥生賞が先週、中山競馬場で行われました。

つまらない、と言われようとも僕がこのレースで注目していたのは1~3番人気馬3頭です。

今年の弥生賞メンバーでこの3頭の力が抜けているのは明らか、その通り4着馬に5馬身もの差をつけて上位3着を占める結果となりました。


ただし優勝したのは1番人気と人気を分け合う形になった2番人気馬マカヒキ

1コーナーを回るときは最後方の位置、その後、向正面からは少し番手を上げたもののそれでもまだ後方グループでレースを進めていきました。

そして3・4コーナー中間から鞍上ルメール騎手が仕掛けていき直線を向くときには先頭を射程圏に入れて猛追、粘り込みを図る1番人気馬リオンディーズをきっちりと捕らえたところがゴールでした。

この馬の凄さはやはり父ディープインパクト譲りの、動き出してからの反応の良さでしょう。

仕掛けてから先頭集団に取りついていく脚がおそろしく速い。

引っ掛かっているわけでなく押さなくてもよい、いつで動けるようなパワーを秘めた背中と、その手応えの分だけ追えば必ず伸びてくれる保証がある脚。

こういう馬は乗っていてすごく安心感があります。

鞍上がペース、ポジションなど全体を見極めて騎乗できれば上位に来るのは確実というほどのレベルです。

これでマカヒキは3戦無敗、堂々と皐月賞の主役に名乗りを上げました。

ただルメール騎手には、これまた3戦3勝、前走きさらぎ賞の勝ちっぷりから世代最強ではないかと評判の高いサトノダイヤモンドがお手馬としているため、気分的にはどちらに乗るのか悩むところでしょう。

2頭ともに本命になり得るほどの強さ、クラシックシーズンがさらに楽しみになりました。


1番人気リオンディーズは2着にクビ差の惜敗。

デビュー2戦目でGⅠ朝日杯FSを制したこの2歳王者は、約2か月半ぶりの出走ということもあってか返し馬から少しテンションが上がり、行きたがる素振りを見せていました。

後ろから行った前走とは違って今回は好位4番手でのレース運び。

おそらく鞍上のデムーロ騎手としては、本当はもう少し後ろからレースを進めたかったのだと思いますが、馬のテンションが高くスタートから行く気まんまん、前半は折り合いを欠いてしまいました。

それでも向正面に入ったあたりから落ち着いて、息を入れる余裕がある伸びやかな走りに見えて、さすがというか何というかデムーロ騎手については、いつもの通り馬の力を上手く引き出す騎乗で、語ることは特にありませんが、リオンディーズにとってはこのレースで1つ収穫がありました。

当然フルゲートであろう皐月賞を想定した場合、敗れたとはいえ今回のような競馬ができたことは選択肢の幅が大きく広がります。

本番ではデムーロ騎手がどんなレース運びをするのか今から興味津々です。


3着には3番人気エアスピネル

鞍上は武豊騎手です。

道中はリオンディーズを見る形でレースを進め、外国人騎手たちに負けじと武豊騎手も名手らしく文句なしの好騎乗をしてくれましたが、直線でリオンディーズを目標とし差を縮めていきながらもその差は詰まらず、さらに外からは一気にマカヒキがやってきて抜かれ、結果2着馬からも2馬身差つけられての3着。

騎手としてほぼ完ぺきに乗れたとの意識はあると思いますが、結果的に上位2頭に離されてしまったことで、現時点での馬の力量の差を彼ほどのジョッキーともなれば痛感しているでしょう。

エアスピネルもかなり強くGⅠを勝って当然と思える馬なのですが、今年の3歳馬はレベルが高いので大変です…。

今年のクラシック戦線は強い馬が揃ったことに加え、その鞍上たちの騎乗ぶりも大きな見どころ。

大舞台でのトップジョッキーたちの競演が待ち遠しくて仕方ありません。

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2016年3月 2日 (水)

少頭数ながら実績馬が揃った中山記念

先週の第90回中山記念は、出走頭数こそ11頭と少なめですが皐月賞馬が3頭集まり、他のメンバーも重賞での実績ある馬ばかりの何とも豪華なレースとなりました。

どの馬が勝ってもおかしくない今回は非常に予想が難しかったのですが、その中で僕が注目していたのが4番人気アンビシャス

鞍上のルメール騎手はこれまでに3戦騎乗し3勝、初重賞勝利となった昨年のラジオNIKKEI賞も彼が手綱を握り相性は抜群。

馬の良さを存分に引き出してくれる腕に期待をこめての本命です。

レースは後方で待機、脚をためるだけためて、最後の直線では豪快に大外を伸びてきたものの勝ち馬にクビ差届かず残念ながら2着に終わりました。

ただしスローペースでこの馬には不向きな展開だったことを考えれば、最後の上がりの脚も素晴らしいものだったし十分すぎるほどに力は見せてくれたと思います。


強敵にはやはり1番人気、昨年の2冠馬ドゥラメンテをあげました。

ただ本命としなかったのは、骨折による9か月のブランクと当日の馬体重がプラス18キロだったこともそうですが、復帰戦のここ(中山記念)を目標としていない陣営が、100パーセントの仕上げをしてこないと考えたからです。

結果はその予想をあっさりと覆すような凄い走り。

実績と能力からこの馬を外すわけにはいかないと思って強敵としましたが、今回の勝ちっぷりには脱帽ですね。

とにかく強いとしか言いようがない。

スタート良く5番手で流れに乗って、直線に向くと早めの先頭。

そのまま良い伸び脚を見せて後続の追い上げをしのぎ、ゴール板を1着で駆け抜けました。

さすがダービー馬。

レースを終えて、ここで負けてはいけない馬なのだと強く感じました。


またもやデムーロ騎手・ルメール騎手のワンツーです。

昨年JRA所属となってから何度この組み合わせを見てきたことでしょう。

有力馬に乗っているという点を除いても、彼らの騎乗は見るたびに感心させられ驚かされることが多く、この2人なら勝って当然だと納得してしまう腕を持っています。

本当にレース運びから馬の追い方・残し方など全てが上手です。

余談ですが、前日土曜日に阪神で行われたアーリントンCでのデムーロ騎手など、まさに神業としか思えない騎乗をしました。

騎乗馬レインボーラインの脚がすでにいっぱいいっぱいで、周りの馬が次々と追い上げて今にもズルズル後退していってもおかしくない様子であったにもかかわらず、その混戦のたたき合いを制し勝利をもぎ取りました。

馬の気持ちを諦めさせない、馬が最後の最後まで力を発揮できるような乗り方=技術がデムーロ騎手にはあります。

あの展開でレインボーラインを勝たせることができる騎手が他にいるでしょうか。

日本競馬で毎週、彼の騎乗が見られるのは幸せなことです。

元ジョッキーとして見ているだけでもワクワクするのだから、もし現役のジョッキーで同じレースに出ているとしたら尚更、かなりの刺激を受けるでしょう。

また今週末のレースが楽しみです。


3着に2番人気リアルスティールが入りました。

昨年の菊花賞以来のレースで身体に少し余裕があったのでしょうか、直線では思ったよりも弾けず、じわじわと差を詰めていっただけのように感じました。

鞍上の福永騎手は1番人気馬ドゥラメンテをマークする形でレースを進めて、じつに理想的なポジション・流れに持ち込んだと思いますが、差し切るまでには至りませんでした。

このレースで勝つか、負けてもハナ・クビ差の接戦になっていなければ、この先ドゥラメンテという怪物を負かすことができるのか少し不安です。

今回の福永騎手に関しては、優等生らしいとても上手な乗り方だったと思いますが、ドゥラメンテに勝つためには何か手を考えなければ、次に対戦するときも同じ結果に終わりそうな気がします。

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2016年2月24日 (水)

予見されていた先行勢の総崩れ

先週日曜日の第33回フェブラリーSは僕が考えていたとおりの結果となり、今年初めてのGⅠをパーフェクトに的中させたことで自信をもってこの先1年間のレースに臨めそうです。


まず2番人気のモーニン、昨年5月のデビュー戦から7戦目、僅か9か月で見事にGⅠ制覇を果たしました。

レースは前半の半マイルが46.1秒と速めのペースで進みましたが、これは前日の降雨により水分を多く含んで当日は重馬場だったことが大きく影響しています。

こういう馬場は脚抜きが良く速い時計が出やすいもので、コーリンベリーが逃げを打ち、そこに何頭かがダンゴ状態で追走し、GⅠレースとはいえかなりのハイペースになりました。

脚抜きが良い重馬場では前残りの展開になることも少なくありませんが、今回に限っては前を行く馬は総倒れになって当たり前と思えるような流れでした。

この流れの中を5~6番手で進んだモーニンは、前を行く馬たちを一歩引いて見ながらのレース運びをし、最終的に前の馬たちは直線で失速してしまいましたがこの馬だけは力強く伸びて2着に1馬身1/4差をつけてゴール。

並の馬なら止まってしまうところを伸びてコースレコードをたたき出すのだから、あらためて能力の高さを見せつけられた感じです。

さらにミルコ・デムーロ騎手ならではの高度な騎乗技術が今回の勝利に大いに貢献しています。

スタミナを奪われてしまいがちな位置につけながら、ちゃんと息を入れて体力の温存を図り勝利に導くその手腕は、巧いのひと言に尽きます。


2着は1番人気ノンコノユメ、鞍上はC・ルメール騎手です。

いつも通りの後方待機は、ペースはどうあれ、あのポジションにいなければ末脚の切れるこの馬の良さが出ないため当然の戦法ですが、ジョッキーの心境としては、どうか直線で前の馬の脚が止まってくれるよう願うばかりでしょう。

馬の力とジョッキーの腕、ともに疑いようのないものと思いますが、どうしても自力でレースを作ることができない脚質なので、今回はその分だけモーニンの方を上の評価にしました。

直線に向くと、勝った馬とはだいぶ離されたもののメンバー最速の上りで2着を確保。

力は十分に出し切れたと思います。


3着に入った7番人気のアスカノロマンは、重賞ではパッとしなかったのが嘘のように昨年秋から走りが安定してきて、前走のGⅡ東海Sを2馬身差で快勝。

最近メキメキと力をつけた馬だけに、今回の好走も十分に想定内でした。

初のマイル戦ながら好成績をあげられたのは中団でじっくり脚をためられたことが大きく、太宰騎手のベテランらしいレース運びが光る内容でした。

昨年のチャンピオンズカップ(1着デムーロ騎手サンビスタ、2着ルメール騎手ノンコノユメ)に続いて、今回のダートGⅠレースも外国人ジョッキーのワンツーで決まりました。

確かに騎乗している馬自体の能力が高いのはもちろんですが、彼らの騎乗を見ていると、馬上で無駄な動きをしないので馬に負担がかからず、追うときも本当にしっかりと追えていて、いかに騎乗技術が優れているかがわかります。JRA騎手となって2年目の今年、リーディング争いはこの2人を中心に争われるのは間違いないでしょう。

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2016年2月17日 (水)

中波乱になったクラシックの登竜門

先週日曜日は東京競馬場でクラシックの登竜門、第50回共同通信杯が行われました。

少頭数ながら今年もクラシック候補になり得る好メンバーが揃い注目度の高いレース、中でも1番人気馬ハートレーがどのような走りをするのかは、ファンの方も注目されていたはずです。

課題だったスタートは、大外10番枠に入ったおかげでゲート内で待たされることのない最後入れとなり、難なく決めてくれました。

ところが道中は中団の外目を手応え良く追走しているように見えたにもかかわらず直線を向くころにはお釣りが残っていない状態で、横山典騎手が追い出しても全く反応がないまま。

特長である伸び脚は発揮されることなくまさかの10頭立て9着という結果に終わりました。

鞍上のレース後コメントで原因がわからないとあり、体調や脚は問題なかったようなのでレース中に馬の精神面にショックを与える何かが起きたのか、また稍重で緩い馬場が気になって走りにくかったか、確かにノメって走りに集中できないのは若馬には酷とも思いますが、いずれにせよこの馬としては負け過ぎでしょう。

上位争いをして馬場やペース、他馬の脚質などが作用し敗れたならまだしも、走り以前に馬の気持ちが全然レースに入っていない感じでした。

デビューから2戦2勝、特に暮れの前走・ホープフルSの鮮やかな勝利は印象深く、馬の能力は証明済みと思われるので、これから立て直してあらためて期待したいところです。


2番人気スマートオーディンも6着敗退。

スタートを決めインの3番手を追走、この位置取りは文句なしですが前半に口を割って折り合いを欠いてしまっていた場面があり、鞍上の武豊騎手がなだめつつ柔らかく乗っていたものの落ち着くまでに少し時間がかかってしまい、その分だけ直線での伸びに影響したのかと思いました。

3歳の夏を越す頃には見違えるように成長する馬が多く見られますが、年明けからそれほど間もないこの時期はまだまだ幼さが残りレースぶりが拙い3歳馬がほとんどで、鞍上の指示に素直に従いしっかりとしたレース運びができるような比較的完成度が高い馬は限られてきます。

ゆえに今回のレースは、現時点で高評価の上位人気馬2頭で固く収まると考える方が多かったのでしょう。

人気も偏っていましたね。

しかし、結果的には6・5・3番人気が上位を占める中波乱に終わり、ハートレーとスマートオーディンはともに掲示板にも載れず。

今回はレースしやすい少頭数とはいえ、やはり若馬にとっては様々な部分で初めて経験することばかりで戸惑ったり怯えたりするのはしょうがないと思います。

若馬が精神的に成長してゆく姿を見守り応援し続けるのもまた競馬の楽しみでしょう。


土曜日に東京で行われたもう1つの3歳馬の重賞、第51回デイリー杯クイーンカップは単勝1.3倍の1番人気メジャーエンブレムが他馬を寄せ付けない圧巻の走りで優勝。

この昨年のJRA賞最優秀2歳牝馬は、3歳となった今年も女王の座は譲らないとばかりに強さを存分に見せつけてくれました。

鞍上・ルメール騎手はスタート後、どこのポジションでもいいと考えているような乗り方をして、結果、スピード(能力)の違いに加え他馬が競ってこなかったこともあり自然と先頭でレースを進めていました。

直線、坂上から多少追ってはいたものの馬なりのままでも楽勝でした。

あれはおそらく次走以降を考えて、直線に向いたらハミを噛み、スパートするのだという追い出しの流れを馬に覚えさせるためにあえて行ったのではないでしょうか。

余裕を感じさせる今回の勝ちっぷりを見ると、このままの状態を維持し何事もなければ、桜花賞はもちろんオークスまでもこの馬の独壇場ではないかと思います。

今年のルメール騎手には牝馬メジャーエンブレム、牡馬サトノダイヤモンドと超強力なお手馬がおり、この2頭で春のクラシックを総なめという夢のような話もかなり現実味を帯びてきましたね。

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2016年2月10日 (水)

騎手が求められる瞬時の判断力

先週の第66回東京新聞杯は5番人気スマートレイアーが優勝。

2年前の阪神牝馬Sを制した実績があり牝馬GⅠの常連馬で、これまでは差し・追い込み脚質を生かして戦って(好成績を上げて)きましたが、今回初めて手綱をとった吉田隼騎手はスタートを出していくとハナに立ってレースを引っ張りました。

しかし無理はせず、馬に全く負担を与えないよう逃げる形。

この吉田隼騎手の乗り方は昨年暮れの有馬記念を制した時のレース運びに似ていると感じました。

アクセルをむやみにふかすことなく馬の持つダッシュ力だけで先頭に立ち、そこからスローに落として自分の形を作り上げるという流れ。

今回の勝利は吉田隼騎手が、自らの騎乗技術により勝ち得たものだと思います。

真面目な性格で若い頃から基礎がしっかりとしたジョッキーでしたが、そこに経験と、何より自信が備わり、余裕ある良い雰囲気が漂うようになりました。

今年は彼ならではの手綱さばきを堪能する機会が多そうなので、競馬観戦がいっそう楽しみになりました。


僕が注目していた1番人気ダッシングブレイズはまさかの競走中止。

レースでは中団を追走し手応え十分の走りで、今の府中の馬場は内側が伸びる傾向があり鞍上の浜中騎手もそれを意識してか内ラチ沿いに進路を取ってレースを進めました。

33秒台の脚を確実に使えて最速の上がりで3連勝してきた現在のこの馬なら、今回のメンバー構成を見れば差し切る可能性がかなり高いと考えましたが、思いのほかレースが流れてゆかずに1000m通過が60.6秒というスローペースに。

そして馬群はダンゴ状態になって4コーナーを回り直線へと向かいました。

浜中騎手は外へ出す意識がハナからなかったようで前にいるエキストラエンドの内を狙っていきましたが、十分な間隔がとれず内ラチにぶつかってコース内の芝へ放り出されてしまいました。

頭一つ分のスペースがあれば大丈夫と思われそうですが、馬群を割って入るのとは違い左側はラチなのでそれ以上インに動けるわけがなく、動いてもらえそうなもう片方、右側の馬と騎手にとってもさらに外に馬が壁となっていては避けたくても避けられないし、人気馬を抜かせるためにわざわざ広くスペースを開けてあげる必要もありません。

馬をまっすぐ走らせるのも騎手の技術なのであまりにもフラつくのは論外としても、必死に追う騎手と夢中で走る馬が多少左右に振れてしまうのは仕方ないことで、今回も決してダッシングブレイズの進路が意図的に塞がれたわけではありません。

レースにおいて、1頭分は通れると判断すれば狭いところでも狙っていきますが、イチかバチかで突っ込んでいく乗り方は危険です。

レースを観ていた関係者は生きた心地がしなかったでしょう。

結果的に馬が軽い外傷で済んだのは不幸中の幸いでした。

確かにレースの流れや内が伸びる馬場を考えると、ダッシングブレイズがあそこから外に出して差し切るのは無理で勝つためにはインを突くしかないのですが、いけるギリギリのところと限界を超えてしまうところ、その境界線を瞬時に判断する冷静さが必要と思います。

あそこで空いているのに最初から突っ込まないで外を回すのは騎手としてありえないレベル、しかも馬によっては外のエキストラエンドを吹っ飛ばしてでも前をこじ開けていくタイプもいて、そうなれば結果的に正解となるため内に進路を取るのは至極当然のこととはいえ、あの場合は馬が躊躇してしまい前を抜けるのは難しいのが一目瞭然、浜中騎手はそこで引く決断をしなければなりませんでした。

開かないと悟った瞬間に勝負を捨てて手綱を引かなければ、運が悪いと馬を殺してしまうことになります。

もちろん自分自身の生命も危険にさらされます。レース全体を見極め、もう少し落ち着いて騎乗できていればと残念でなりません。

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2016年2月 3日 (水)

ダート界の新星がGI前哨戦を圧勝

日曜日に行われた第30回根岸ステークス。

2014年から東海Sとともに1着馬にはGⅠフェブラリーステークスへの優先出走権が与えられるようになり、また1着馬だけでなく次走はフェブラリーSに出走予定という(もともと出走できる権利を満たしている)馬が他にもいるので、本番に向けそれぞれがどんな走りをするのか目が離せない1戦となっています。


優勝は1番人気モーニン

前走の武蔵野Sは重賞初挑戦ながら3着に好走し、今回の勝利によりデビューからの戦績が6戦5勝となりました。

それでも底を見せていないような、まだまだ秘めた力があるのではないかと思わせる、何とも怖い4歳馬が現れました。

レースでは鞍上・戸崎騎手がスタートを出していき好位をキープ、少々かかり気味でしたが鞍上とケンカするまでには至らず、手応え十分の雰囲気で進んでいきました。

シゲルカガが逃げて前半3Fが34.6秒のタイムは、馬場状態が稍重のため走りやすかったとは思いますがそれでも少し速いペースです。

その中を3番手集団で楽な手応えで追走したモーニンは直線に入っても手綱は動かず持ったまま、そして残り400mあたりから先頭に立つと後続の追撃を1/2馬身差でかわしゴール。

上がりを35.4秒でまとめ、勝ちタイムは1分22秒0のコースレコードと馬場を考慮しても素晴らしい内容で、余力をたっぷり残す圧勝でした。

あれだけ先に行けて、しかも最後もしっかりと伸びてくれる馬はジョッキーからしてみれば大変に頼もしく、安心して乗っていられます。

跨っているジョッキーは本当にラクだろうな、さぞかし気持ち良いだろうなと思わせるレースぶりでしたね。

これでフェブラリーSも各紙で重い印が打たれるのは間違いなく、僕も何番手かは未定ですがやはり絶対に外せない1頭となりました。

不安材料をあげるとすれば1つだけでしょうか。

それはスタートがあまり速いといえないところ。

今回は16頭立ての15番枠だったので自分よりも外にいる馬はただ1頭、それならさほど気になりませんが、もしも内側から真ん中あたりの枠番に入った場合、スタートが速くないと、他馬が前に入ってきて詰まったりガッチリ壁を作られてしまったり、ポジション取りが上手くいかない、思うようなペースで進められないといった苦しい状況に陥るのではないかとの恐れがあります。

史上最速タイのJRA古馬ダート重賞制覇は、それだけ素質が優れている証であり素直に凄いと思いますが、言い換えれば、骨っぽいメンバーが揃う古馬の重賞レースへの出走経験が浅いということ。

馬群に揉まれた時にどんな乗り方を鞍上がするのか、どんなレースをモーニンが見せてくれるのかが大きなポイントでしょう。

とはいえ陣営は当然何らかの対策をしているでしょうし、あの大きく力強い馬体を見ると、能力であっさりと押し切っても全くおかしくはありません。

ダート界の新星がこれからどんな戦いをするのか、今年の楽しみがまた1つ増えました。


2番人気に支持されたタガノトネールは勝ち馬よりも前でレースを進め、速い流れの中を大崩れすることなく4着に健闘しました。

1400mの根岸Sは忙しい感じがしますが次走1600mならもう少し楽に行けて、粘りが増すはず。

安定感があって良い雰囲気の馬ですね。


3番人気アンズチャンは流れを味方につけないと、持ち味である末脚が不発に終わってしまうタイプ。

その代わりハマったときの威力は凄まじく、GⅠでも十分に通用します。

こういう後方一気の脚を持つ馬が出走する場合は、当日の馬場状態やメンバー構成(脚質)など、レース展開をじっくりと検討しなければならず大変ですが、だからこそ予想がピタリと的中したときには大変気分が良いものです。

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