短距離路線に新たなスターが誕生
あちこちで桜が開花し始めた先週日曜日、中京競馬場では春のGⅠシリーズ第1弾・第46回高松宮記念が行われビッグアーサーが優勝、初めての重賞勝利がGⅠという大変嬉しい結果となりました。
デビュー戦を快勝後に10か月の休養を挟み、復帰してからも4連勝。
これまでに10戦して〔6.2.1.1〕と掲示板を外したことがない成績を見るだけでも、かなりの素質馬ということがわかります。
重賞未勝利とはいえこの馬ならばGⅠの大舞台でも勝ち負けになると陣営は確信をもっていたはずで、万全の状態でレースに送り出してきました。
ただ、単勝1番人気には驚きました。全く同じ3.9倍の単勝オッズで人気を分け合ったミッキーアイルはやはりGⅠ・NHKマイルCを含む重賞5勝の、GIの舞台でも1番人気の推されるだけの圧倒的な実績、しかしビッグアーサーはGIどころか重賞未勝利ですからね。
それだけ関係者の間でも評判だったという証でしょうし、それに相応しい圧倒的な勝ち方でした。
この高松宮記念は逃げ宣言したローレルベローチェにハクサンムーン、そして逃げれば8戦7勝ミッキーアイルと、高速馬場で速い決着になるのは必然であり、実際に勝ち時計は1分06秒7のレコードだったのですが、こういう馬場ではスピードの絶対値が高くなければ好走は望めず、追い込み脚質の馬にはとても苦しいレースとなりました。
この流れを読んでいたのか、ビッグアーサー鞍上の福永騎手はスタートを決めると、先に行った逃げ・先行馬3頭を先に行かせてから少し距離を置いて、前にいる馬たちのペースに乗ってしまわないよう一歩引いて追走していました。
この位置取りが最高でした。勝つべくして勝ったとしか言いようがありません。
ハイペースにもかかわらず4番手でピタリと折り合いがついて手応えは楽々、あと騎手がすることは抜け出すタイミングを計るのみと、余裕すら感じさせるビッグアーサーの走りに、鞍上はさぞかし楽しくレースができたのではないでしょうか。
福永騎手がこの馬とコンビを組んだのは初めてですが、とても息が合って乗りやすそうな感じでした。
きっとビッグアーサーは脚だけでなく気性・レースセンスなど全てが優れているのでしょう。
今年の短距離戦線に新たなスターが誕生しました。
2着にミッキーアイル。
逃げて好成績を残してきた馬ですが、ローレルベローチェの方がスタートが速く先に行かれてしまい、自分のペースに持ち込めなかったことが敗因でしょうか。
ローレルベローチェとハクサンムーンを前に置き3番手でレースを進めましたが、ゲートを出していった分この2頭の競りに加わってしまい、リズムを崩してしまった印象を受けました。
それでもさすがに能力はこのGⅠレースのメンバー中でも1,2を争う馬だけに、直線に向いてもバテず、一度は先頭に立つなど見せ場は十分。
ゴールまで粘り込めるかというところで勝ち馬に差され3/4馬身つけられてしまいましたが、底力は見せてくれました。
勝負で“たられば”が禁物なのは承知ですが、もしも逃げる選択をせずに好位で良しという考えで騎乗していれば、本当にきわどい勝負になっていたかも知れません。
スタートで出していったことで気持ちが入り過ぎ、それが力みとなって消耗し直線の末脚に影響したように思います。
今回に限らずミッキーアイルは、それまでのように、はじめから好位でのレースをするように乗ってみれば、脚質の幅が広がってさらに強さが増すのではないかと、改めて思いました。
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