抜けた3頭がやはり上位3着を独占
皐月賞のトライアルレース第53回弥生賞が先週、中山競馬場で行われました。
つまらない、と言われようとも僕がこのレースで注目していたのは1~3番人気馬3頭です。
今年の弥生賞メンバーでこの3頭の力が抜けているのは明らか、その通り4着馬に5馬身もの差をつけて上位3着を占める結果となりました。
ただし優勝したのは1番人気と人気を分け合う形になった2番人気馬マカヒキ。
1コーナーを回るときは最後方の位置、その後、向正面からは少し番手を上げたもののそれでもまだ後方グループでレースを進めていきました。
そして3・4コーナー中間から鞍上ルメール騎手が仕掛けていき直線を向くときには先頭を射程圏に入れて猛追、粘り込みを図る1番人気馬リオンディーズをきっちりと捕らえたところがゴールでした。
この馬の凄さはやはり父ディープインパクト譲りの、動き出してからの反応の良さでしょう。
仕掛けてから先頭集団に取りついていく脚がおそろしく速い。
引っ掛かっているわけでなく押さなくてもよい、いつで動けるようなパワーを秘めた背中と、その手応えの分だけ追えば必ず伸びてくれる保証がある脚。
こういう馬は乗っていてすごく安心感があります。
鞍上がペース、ポジションなど全体を見極めて騎乗できれば上位に来るのは確実というほどのレベルです。
これでマカヒキは3戦無敗、堂々と皐月賞の主役に名乗りを上げました。
ただルメール騎手には、これまた3戦3勝、前走きさらぎ賞の勝ちっぷりから世代最強ではないかと評判の高いサトノダイヤモンドがお手馬としているため、気分的にはどちらに乗るのか悩むところでしょう。
2頭ともに本命になり得るほどの強さ、クラシックシーズンがさらに楽しみになりました。
1番人気リオンディーズは2着にクビ差の惜敗。
デビュー2戦目でGⅠ朝日杯FSを制したこの2歳王者は、約2か月半ぶりの出走ということもあってか返し馬から少しテンションが上がり、行きたがる素振りを見せていました。
後ろから行った前走とは違って今回は好位4番手でのレース運び。
おそらく鞍上のデムーロ騎手としては、本当はもう少し後ろからレースを進めたかったのだと思いますが、馬のテンションが高くスタートから行く気まんまん、前半は折り合いを欠いてしまいました。
それでも向正面に入ったあたりから落ち着いて、息を入れる余裕がある伸びやかな走りに見えて、さすがというか何というかデムーロ騎手については、いつもの通り馬の力を上手く引き出す騎乗で、語ることは特にありませんが、リオンディーズにとってはこのレースで1つ収穫がありました。
当然フルゲートであろう皐月賞を想定した場合、敗れたとはいえ今回のような競馬ができたことは選択肢の幅が大きく広がります。
本番ではデムーロ騎手がどんなレース運びをするのか今から興味津々です。
3着には3番人気エアスピネル。
鞍上は武豊騎手です。
道中はリオンディーズを見る形でレースを進め、外国人騎手たちに負けじと武豊騎手も名手らしく文句なしの好騎乗をしてくれましたが、直線でリオンディーズを目標とし差を縮めていきながらもその差は詰まらず、さらに外からは一気にマカヒキがやってきて抜かれ、結果2着馬からも2馬身差つけられての3着。
騎手としてほぼ完ぺきに乗れたとの意識はあると思いますが、結果的に上位2頭に離されてしまったことで、現時点での馬の力量の差を彼ほどのジョッキーともなれば痛感しているでしょう。
エアスピネルもかなり強くGⅠを勝って当然と思える馬なのですが、今年の3歳馬はレベルが高いので大変です…。
今年のクラシック戦線は強い馬が揃ったことに加え、その鞍上たちの騎乗ぶりも大きな見どころ。
大舞台でのトップジョッキーたちの競演が待ち遠しくて仕方ありません。
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