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2013年11月

2013年11月27日 (水)

展開を跳ね除けた女王の地力

今年の競馬もいよいよ師走の中山を残すのみとなりました。
先週は今年最後の東京開催を締めくくるレース、第33回ジャパンカップが行われました。
優勝は1番人気ジェンティルドンナ。過去の名馬達もできなかったジャパンカップ連覇を現役最強牝馬が成し遂げました。
短距離はともかく(上位人気を誇るほどの)逃げを持ち味とする馬がパッと思い浮かばない最近のGⅠレースですが、今年の出走メンバーを見渡しても逃げ馬は不在。あえて挙げるならトーセンジョーダンヴィルシーナがレースを引っ張るだろうと思われました。
まさかエイシンフラッシュが逃げるとは、誰もが予想していなかった展開でしょう。
前半の1000m通過62.4秒のかなり遅いペースになったレースは上がり勝負に持ち込まれ、ジェンティルドンナはこの流れの中では理想的な3~4番手の位置につけました。ただ位置取りは文句なしとはいえ鞍上のムーア騎手は超スローペースに苦労していた様子でした。
こういうレースは騎手にとって本当に困ります。
行きたいように行かせては消耗が不安だし、でもペースが遅すぎて馬はかかってしまうし、とにかく我慢してそのポジションを確保しつつ、早く仕掛けどころまで進んでペースが上がるよう願うことしかできません。ジェンティルドンナもそんな感じでしたが、ギリギリのところで我慢できていましたね。
直線に向き進路を内に取り、早めに抜け出して先頭に立ったところで少し仕掛けの早さが気になりましたが案の定、残り50mあたりから後続馬が襲いかかってきました。ところがやはり実力が一枚も二枚も違うのでしょう、ねばり腰で抜かせずハナ差残してゴール。
馬の強さは誰もが認めるところですが、ハナ差を抜かせない勝負根性が何より凄い。
もし今回のレースぶりで負けることになれば、敗因として仕掛けのタイミングを誤った騎手の騎乗が一番に挙げられるはずで、そうさせなかったジェンティルドンナは本当に強い。
女傑、最強牝馬と呼ばれた馬は過去にもいますが、ジェンティルドンナも間違いなく歴史的名牝ですね。脱帽の強さです。

このジャパンカップでは、ジェンティルドンナを負かす馬がいるとすればエイシンフラッシュ。ハマれば無敵の走りを見せるこの馬が1番手と考えていましたが、押し出される形での逃げという意外な展開の上、流れがあまりにも不向きなレースになってしまいました。
こうなると、どれほどペースを落として脚を溜めようとしても持ち味は生きてきません。
スローペースはよいとして、ジェンティルドンナをマークできるような位置で競馬ができていれば理想的でしたが、何があるのかわからないのが競馬。仕方ないでしょう。
ゴールドシップは2番人気で15着、惨敗を喫しました。
まるで競馬をしていない印象で、鞍上がいくら手綱をしごいても反応はなく後方のまま終了。これは馬の精神的な問題でしょうか。実力や体調に全く疑問はありませんが馬の気持ちが乗ってくるまでには少し時間がかかりそうで、有馬記念に間に合うかどうかが鍵です。

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2013年11月20日 (水)

自信に満ちたユタカの騎乗

早朝の空気の冷たさに冬の訪れを感じるようになったこの頃、秋のGⅠシーズンも気づけば終盤に入り、2013年の競馬は残すところあと5週となりました。
先週は京都競馬場で第30回マイルチャンピオンシップが行われました。今年は混戦ムード。
素質で勝てる若馬の頃の成績は別にして、1200mから1600mまでGⅠレースでも通用するような絶対的王者、その時代における最強馬といえる存在は数年に1頭出てきますが、今年は粒こそ揃っているもののそこまでの存在は見当たりません。もともと1800~2000mあたりの中距離重賞で好走する馬や短距離レースを得意とする馬など、幅広いタイプが揃って出走してくるマイルGⅠ。予想はとても難しいものとなります。
そんな混戦のマイルCSを制したのは、春の天皇賞2着馬トーセンラーでした。
一昨年のクラシック戦線を盛り上げてくれたこの馬は、デビュー戦から今まで1800m以上のレース経験しかなく中・長距離重賞に重点を置いてきましたが、マイルCS当日は何と2番人気に支持されました。これはやはり馬の能力の高さは誰もが認めているということで、、また鞍上の武豊騎手も人気を後押しする形になったのでしょう。
レースでは後方グループにつけて折り合いに専念、直線に向くとうまくスペースを見つけ、他馬とは次元の違う脚であっという間に前を捕らえました。ペースがそれほど速くなかったこともあり脚や体力の余計な消耗がなく素晴らしい伸び脚でした。
初の1600m戦にも全く戸惑うことなくレースを進められましたが、これは鞍上の自信が手綱を通して馬に伝わっていたのかもしれません。武豊騎手は不安を感じるどころか、むしろトーセンラーにとってベスト距離のレースであるかのように自信に満ちた騎乗をしていました。作戦通りと思われる後方追走には最後に必ず良い脚を使ってくれるとの馬への信頼が見え、そのとおりゴールまでの距離・流れをきっちり掴んでいる彼ならではの勝ち方は本当にお見事という他ありません。
彼ほどの騎手になると大舞台で動揺が表れるような騎乗などありませんが、それにしてもレースを見ていてやはり他の騎手とは冷静さが全く違います。いつまでもトップであり続けてほしい騎手です。

期待したクラレントは4番人気ながら11着に大敗。
レースでは好位の3番手で外側を追走、直線で追い出すと一瞬伸びかけましたがラスト100mあたりで失速してしまいました。内容に悪いところはなく、あえて敗因を挙げるのなら480~490キロで好走を続けてきたこの馬の馬体重が12キロ増だったことでしょうか。
目標であるGⅠレースに出走する以上、陣営は当然体調を万全にし目いっぱいに仕上げていくるので、追いが不足してゆるんでいるなどということはありませんが、仕上げる過程で強めだと感じられる場合は追いきり後に少しだけラクをさせるときもあります。今回のクラレントの馬体重増はどの類のものかわかりませんが、GⅠでも十分に通用する力がある馬なので、次走でも期待せずにはいられません。
1番人気ダノンシャークは3着。鞍上の福永騎手は、好スタートを決めると位置取り・追い出しのタイミングと言うこと無しの完璧な騎乗でした。勝った馬と決め手の差が出たのは仕方がないと思えますが、2着馬ダイワマッジョーレを捕らえられなかったことは誤算。
完璧な騎乗ができたときになぜか勝てなかったり、逆にミスや不利がありながらも流れのアヤで勝ってしまうことがありますが、競馬は1頭だけでするものではなく、いろいろな個性をもつ多くの馬、それぞれの騎手の思惑、そして説明のつかないような流れなど様々な要素が重なり合って成り立っています。そこが難しく面白いところです。

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2013年11月13日 (水)

文句のない実力、そして好騎乗

先週は京都競馬場でGⅠレース、第38回エリザベス女王杯が行われました。
朝からの降雨で馬場状態は良から稍重へと変わりメインレース発走時刻には重発表と、牝馬にとって過酷なステージとなった今年のレース。
まず1番人気馬ヴィルシーナですが、結果は10着と寂しい結果に。
流れに乗り、位置取りも悪くないように見えレース自体はうまく進められたと思います。ただ、今回はずいぶんスムーズに折り合いがついているのが不気味でした。この馬は好走するときには、鞍上が手こずるほど道中にハミを強くとり、折り合いにとても気を遣わなければならないはずなのに、今回はすんなりと運んでいました。
ある程度ハミをとってくれる馬の場合、比較的重馬場を苦にしないタイプが多く、また昨年のエリザベス女王杯も重馬場であったことから(ヴィルシーナは2着)かなりヴィルシーナに分があると期待していましたが、残念ながら持ち前の気の強さが見られずに終わりました。馬体や気配は良かったので、いつもの反応がなかったのは馬場状態や展開により気がそがれてしまったのかもしれません。次走は本来の力が発揮できるよう願っています。

さて今年のエリザベス女王杯、制したのは3歳牝馬メイショウマンボでした。
オークス・秋華賞に続く古馬相手のエリザベス女王杯優勝により今年のGⅠレースを3勝、もはやその強さに異議を唱えるものはいないでしょう。
この馬は、後方からレースを進めて末脚にかけるレースが特徴。枠順が内の3番枠だったこと、しかも馬場の内側が悪くなっているためスタートは当然ソロッと出して後ろに下げ、最後に外を回して猛追してくると予想していました。
ところがメイショウマンボの鞍上・武幸四郎騎手は好スタートを切るとそのまま好位に取りつき、向正面では前に6頭を置いて、そこから3~4馬身差で追走。騎手にとって周りを囲まれていない状態というのはとても楽で、いつでもどこでも動けるのでレースがしやすいのですが、もちろん馬にとっても同様で、プレッシャーがかからず身体的にも精神的にも負担が極めて少なく済みます。
このベストポジションを武幸騎手が取ったことが最大のポイントでした。
さらに3~4コーナーから、全ての馬がその動きに注目し警戒している1番人気馬ヴィルシーナがメイショウマンボの内側に入ってきたのも勝負を決定づけました。
武幸騎手が「うまく閉じ込めることができた」と彼らしく柔らかい言葉でその時の状況を表現しましたが、レースの最中はまさに自分以外全て敵の真剣勝負、同じ立場にある騎手であれば誰でも、言い方は悪いですがヴィルシーナという最高の獲物が飛び込んできてくれたこの最高の機会を逃すわけがなく、何があっても絶対に出さないという気迫を押し出し必死の形相でレースをすると思います。
そしてメイショウマンボは直線で外からいつものように鋭く伸び、結果は圧勝でした。
馬の強さは疑いようのないもので、加えて武幸騎手の完璧な騎乗が勝利につながりました。
「たまには僕のレースぶりも褒めてほしい」と冗談ぽく語っていましたが、今回は本当に素晴らしい騎乗でした。育ちの良さと恵まれた環境ゆえ優しげなイメージをもつ彼も、最近では厳しさや冷静さを備えたベテランらしい騎乗が増え、これからのパフォーマンスに目が離せない存在となっています。

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2013年11月10日 (日)

11月16・17日の注目馬情報

注目ランクB
南井 厩舎
アスタースカイ
※京都6-6R・2歳新馬・ダ1800mに出走予定

今週使う予定もあったが、「どうしても和田騎手を乗せたい」という意向で来週へスライドとなった。2週続けて水準以上の動きを見せており、周辺関係者の間でも「イキナリからやれそう」と話題になっているそうだ。「来た時はプランプランしていたが、やっていくうちに走るようになった。コレは面白いで」とは、持ち乗りの田島信行元ジョッキー。和田も力が入ることだろう。

注目ランクMM
大江原 厩舎
ミュゼストリート
※福島6-5R・2歳新馬・ダ1700mに出走予定

2012年のセレクションセールにて1500万円で落札されたゴールドアリュール産駒。近親に中山牝馬Sを連覇したレディアルバローザがいる。9月には既に入厩していたが、本格的に乗り込み始めたのは10月に入ってから。毎週意欲的に追われて、順調な仕上がりを見せている。「馬格がありパワー型でいかにもダート向きの感じです」と関係者の評価は高い。同厩舎・同馬主ミュゼリトルガールに続いて新馬勝ちを狙っているとの事。

注目ランクMM
中竹 厩舎
カフジウインド
※東京5-5R・2歳新馬牝・芝1600mに出走予定

稽古の時計は決して目立つものではないが、西では「コレはかなり走る!」と期待されている注目のディープインパクト産駒。石橋脩が乗る予定らしいが、「かなり感触のイイ依頼が入ってきた」と、同騎手サイドの人間も楽しみにしているようだ。いかにも東京の長い直線が合いそうなタイプとのことで、初戦から目が離せない存在。

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2013年11月 6日 (水)

コース取りが勝敗に直結!

GⅠレースがお休みの先週、東京競馬場メインは第51回アルゼンチン共和国杯。このレースをステップにジャパンカップや有馬記念へと進む馬も多く出走してきます。
今年は7番人気アスカクリチャンが、昨年の七夕賞以来2つ目の重賞勝利を果たしました。
レースは平均的なペースで流れ、直線の瞬発力勝負になりました。アスカクリチャンは人気馬3頭を見る形で追走し、鞍上の戸崎騎手にとっては人気馬(評価が高い馬)が目の前にいることで目標にしやすくとても乗りやすい状況でした。直線に向くと、進路をとるとき僅かに窮屈そうな場面も見られましたが「内も外も変わらないと思っていた」とコメントしたように馬場状態を把握していた戸崎騎手がロスのない内に突っ込むのは当然で、見事イン突きが決まり抜け出したところでゴール。リスクを伴う乗り方ですが、こうして上手くハマり勝ってしまえばそれは大成功であり、騎手の好判断と言えます。
戸崎騎手はJRAに移籍後は毎週勝ち星を重ね、先週で36週連続勝利を達成しました。これは大変な記録で年間30勝に満たない多くの騎手からは羨ましい限りですが、たとえ年間100勝するほどの騎手であってもここまで連続して毎週勝利を挙げるのは難しいことです。
それだけ関係者に腕を信頼されているということでしょうが、彼の騎乗が勝利につながった今回の騎乗を見るとそれも納得です。
アスカクリチャンは重賞の常連らしい走りをいつも見せてくれますね。長期休養がなく出走を続けられるのは体調が安定している証拠で、特にこれまで中距離がメインだったこの馬が今回、東京2500Mでこのような勝ち方ができたことはとても大きな収穫です。今後GⅠレースに出走してきたら応援したい1頭です。

注目した4番人気アドマイヤラクティは中団よりやや後ろでレースを進め、直線では鋭い脚で迫るも2着に敗れました。ただ決して力負けではなく、勝ち馬とのコース取りの差が出た印象で、休み明けを叩かれて状態が上向きになっているのがわかる好走でした。このまま好調を維持してほしいと思います。

今回のアルゼンチン共和国杯で最も惜しい騎乗内容と感じたのは、5着に入ったホッコーブレーヴです。
大外18番枠からのスタートで終始後方の位置取りで追走、最後の直線で大外に出すと良い脚を使って伸びてきましたが届かず。重賞初挑戦ながら1着馬との着差が約3馬身、これは非常にもったいないレースぶりだと思いました。
後方で脚を溜める騎乗は作戦のうちでしょうが、一度も中に入る様子は見られず、枠順のまままるでセパレートコースを回っているかのよう。外が伸びる馬場であればともかく、そうでなければ内を突こうと試みなければなりません。どこかで中にもぐりこみ直線で内を突くなどし、それが出来ないのであればせめて間を割ってくるような、勝つために積極的な乗り方をしたほしいと思いました。よほど圧倒的なスタミナと伸び脚を持っていない限り、この内容で勝つのは難しいでしょう。
確かに大外枠からのレースは外を回らされるなど不利が多いです。けれどそんな状況からもいつの間にか内に入っているというレースをする騎手も少なくありません。三浦騎手にはそれくらいの技術・度胸は十分備わっているので、ぜひ次回はさらに良い結果となるよう頑張ってほしいものです。
ぐんぐんと力をつけ好走を続けているホッコーブレーヴの次走もとても楽しみです。

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2013年11月 3日 (日)

11月9・10日の注目馬情報

注目ランクMM
矢野照 厩舎
プリサイスエース
※東京4-6R・2歳500万下・ダ1400mに出走予定

『スタートが速くて能力がありそう』と好感触を掴んでいたデビュー戦、ゲートを出た直後に接触するアクシデントがあったが、最後まで集中力を切らさずに追い比べで2着馬に競り勝った。「多少余裕があった身体が引き締まり、一度使って全ての面で前走以上です。長く良い脚を使うタイプなので距離延長も問題ないと思うので、クラスが上がっても楽しみです」と陣営。今回は田辺騎手に乗り替わる予定。

注目ランクB
古賀慎 厩舎
ベステゲシェンク
※東京4-12R・3歳上1000万下・芝1600mに出走予定

上質の決め手の持ち主で、「先々は重賞を賑わす存在になる」と、厩舎内外で高い評価を与えられている馬。その素質を考えれば前走2着が案外な結果にも映るが、好位から上がり32.9秒の脚を使って負けたのであれば、相手の根性を褒めるところだろう。その後は放牧に出して立て直し、10月下旬に帰厩してからはこのレースを目標に調整が重ねられている。ポンポンと行けるだけの素材、復帰戦に注目だ。

注目ランクMM
堀 厩舎
エルマンボ
※東京4-7R・3歳上500万下・ダ1600mに出走予定

既走馬相手のデビュー戦で2着と好走し、続く次走でキッチリ勝利。着差は僅かだったが、まだ2戦目というキャリアを考えれば捻じ伏せたことを素直に評価するべきだろう。休みを挟んだ今回は、「上手く調整できました」と担当が胸を張るほどの好態勢という話。鞍上にムーアを配し、連勝を狙っている。

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