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2013年7月

2013年7月31日 (水)

狙った通りの結果でしたね。

夏の新潟競馬が始まりました。
1週目のメインは、新潟で最も盛り上がりを見せる直線1000mの重賞レース、第13回アイビスサマーダッシュです。僕が勝ったのが第2回と第4回なので、すでに10年もの年月が過ぎていますが、今観ていても当時とレースの傾向はあまり変わっていませんね。
僕が戦前から注目し本命視していたのは1番人気ハクサンムーンと3番人気フォーエバーマーク。結果はこの2頭の一騎打ちとなりました。

まずは優勝したハクサンムーン、この馬は現役競走馬の中でも一番と言ってよいほどのダッシュ力と二の脚の速さをもっている点がこの直線1000mレースにはうってつけだと考え、注目馬に挙げました。どんなレースでもスタートは大事ですが、特にこの新潟1000mでは出遅れたら巻き返しはほぼ不可能で、ハクサンムーンのような脚はとても大きな武器になります。
また、18頭立て13番と外寄りの枠番も良かったですね。諸々の点からどの枠でも自信を持って本命にするつもりでしたが、この枠順を見てさらに自信は深まりました。
このコースは何度も騎乗しましたが、コーナーがないのでインにこだわる必要が無く、やはり絶対的に外枠が有利です。外ラチにつけることができればさらに良く、馬がヨレたりせずに走りに集中できて騎手も乗りやすくなります。その新潟直線1000mにおいて理想的な位置を取ったハクサンムーンは、前にいる馬の動きやペースに左右されないレースの中で、あとは力どおりの走りをするだけです。
スタートを切った瞬間に全ての騎手が全力で馬を出して追っていくのに対し、酒井学騎手は目いっぱい追うような構えはあまり見せずにあのポジションを取れましたが、それだけ馬のスピードが勝っていたということでしょう。その後、2ハロンを越えたあたりから2着フォーエバーマークと馬体をあわせていたときも、そこでもまだ酒井騎手は手綱をもったまま。追い出しを始めたのは残り100mくらいでしょうか。ダッシュ良くスピード感あふれる走りで手応えも十分と、騎手にとっては安心できる競馬をして完勝。
酒井騎手も、重賞レースで1番人気馬に騎乗するプレッシャーを背負いながらも、じつに落ち着いた騎乗をしていました。昨年ジャパンカップダートでニホンピロアワーズに乗り初のGⅠ制覇を遂げたことが精神的余裕につながっているのか、非常に冷静な手綱さばきでした。

2着フォーエバーマーク。この馬も短距離戦は走りますね。
内側の4番枠に入ったことで、レースでは内から徐々に外に出していかなければなりませんが、外側にいる馬の前に入るためには、かなり気を遣って乗ることになります。ここが勝ったハクサンムーンとの差で、鞍上の村田騎手には少し乗りにくかったかと思います。
枠番が逆であったなら結果は変わっていたかもしれませんね。

そういえば酒井騎手、村田騎手ともに新潟出身ですよね。競馬場にはご家族や親族、友人など多くの方が地元での活躍を期待し応援してくださったと思います。今回のレースは皆さんに楽しんでいただけたのではないでしょうか。
夏のローカル開催は、東京や中山に比べると入場人数は少なくGⅠレースの華やかさもありませんが、毎年こうして楽しみに待っていてくださる各地の人たちの温かい声援が、騎手にとっては何より嬉しいのです。

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2013年7月28日 (日)

8月3・4日の注目馬情報

注目ランクMM
木原 厩舎
ヤマニンプチガトー
※函館3-11R・STV杯・芝1200mに出走予定

ひと叩きして降級した前走が力で押し切る強い競馬。初めての函館だったが、時計的にも優秀で適性のあるところを示した。今回は昇級戦となるが、上のクラスでも上位争いした経験があり、形だけのもの。前走後は短期放牧に出て1週前も上々の動きを披露。コース巧者が集まりそうだが、連勝の期待も十分。

注目ランクB
宮本 厩舎
ニシノモンクス
※小倉4-12R・筑紫特別・芝1200mに出走予定

◎マイネボヌールの勝負話を本社勝負情報にてスクープした志摩特別で、7番人気ながら相手大本線に指名、7万0540円的中の影の立役者となったお馴染みの馬。その前走時も陣営が良化ぶりに自信を持っていたことはお伝えした通りだが、この中間、どうやらさらに具合が良くなっているらしい。「デキは文句ナシ!あとは外枠を引ければ」と、気性面に課題が残る現状ゆえに極端な内枠だと苦しいが、逆に言えば不安材料はそれくらいというムード。

注目ランクB
勢司 厩舎
ランドシャーク
※新潟4-8R・3歳上500万下・ダ1200mに出走予定

春の新潟で本命公開から万券的中をお届けしたこの馬。その後は降級、得意条件をジックリ待ってココに狙いを定めてきた。未勝利勝ち時点から能力を評価されていた馬で、再度の500万となればスピードの違いは歴然。この厩舎らしく丁寧に仕上げてきており、休み明けでもイキナリから力を発揮してくれそうだ。

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2013年7月24日 (水)

距離が延びる次走こそ試金石

先週は函館競馬場で今年初めての2歳馬重賞レース・第45回函館2歳ステークスが行われ、1番人気クリスマスが期待に応え優勝し、重賞ウィナー一番乗りとなりました。

このレースでは僕も最有力馬としてクリスマスを挙げました。
理由はやはりデビュー戦の勝ち時計。通常の2歳戦に比べ1秒ほど速く、今の段階ではスピードが他馬を圧倒しています。レースでも、ハナさえ奪うことができればデビュー戦と同じようにそのまま押し切って勝つ可能性がかなり高いと考えました。
2歳馬がデビュー戦を勝利するときは逃げ切りが多く、道中で馬群にもまれたり間を割って抜け出してくるような馬はほとんどいません。2歳馬にとっては生まれて初めての「本物の競馬」が、いつもの調教とは違い、馬にとっていかに窮屈な行いを強いられるものであるか。まだ子供である2歳馬がわけもわからずに、どんなに怖い思いをすることか。どれほど高い素質をもっていようとも、能力の全てを出し切ることは非常に難しく、ゆえに2歳馬のデビュー戦では、先頭で自分のやりやすいように走りゴールまで脚がもつかどうかというレースになりやすいのです。

逃げられれば強い。
しかしクリスマスの枠順は16頭立ての15番枠と決まりました。
この枠では、内側に“行き脚”が速い馬がいた場合にとても不利になります。そして危惧していた通り、スムーズにゲートから出たもののクリスマスよりも内にいた12番テルミドールがハナを主張し、譲る気配が全くなかったため、攻めるのは諦めて2番手での追走となりました。 騎手は枠順が決定したときからレースでどのように騎乗するか考えます。内・中・外枠それぞれに入った場合のレースの進め方、ハナをとるにはどうしたらよいか、もしも出遅れたらどう行動するかなど何通りも想定しますが、クリスマスの鞍上・丸山騎手も当然このような状況は予想のうちで、理想的とは言えないけれど逃げられなかったら無理せずに2、3番手につけるレースをしようと頭を切り替え、折り合うことに集中したのではないかと思います。先頭に立つつもりで出していき勢いづいてしまったクリスマスを丸山騎手がどうにか折り合いをつけてレースを進め、最後は直線で早めに仕掛けて抜け出すと2着馬に2馬身差をつけてゴール。期待どおりの脚を使い、圧勝といえる内容でした。
ただ、今回のレースぶりからは少々の不安も残りました。
1200m戦だから脚がもった印象が強く、折り合いはあれが本当にギリギリだったと思います。あの折り合いでゴールまで粘れたのは、やはり短距離だったことと、現時点で他馬を圧倒するスピードが備わっていたことが大きいのではないでしょうか。
距離が延びたときにどんな競馬をするのか、そのときにこの馬の能力が試されると思います。それには毎日の地道な調教、そして実戦において騎手がどのように競馬というものを教えてゆくかが重要になってきます。そうした積み重ねにより馬はグンと成長したり伸び悩んだりするので、まだ若い丸山騎手も、若馬にレースを教えるのも騎手の仕事という意識を強くもってぜひ一緒に成長していってほしいと思います。

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2013年7月17日 (水)

その手綱捌きは“さすが”のひと言

先週は七夕賞に続くサマー2000シリーズの第2戦、第49回函館記念が行われました。
優勝は3番人気馬トウケイヘイロー。鞍上の武豊騎手はスタートダッシュ良くゲートを飛び出すと果敢にハナを奪い、緩みのないペースでレースを引っ張りました。あれはもう、はじめから絶対にハナに立つと決めている乗り方でしたね。

昨年、一昨年と勝ち時計が2分を切ることがなかった函館記念、今年は馬場状態が良く1分58秒6の好時計。じつは少し道中のペースが速いと感じていましたが、武豊騎手は当然このような傾向をわかっていて逃げたのでしょう。そういう「読み」はさすがです。
そしてペース配分もさることながら、最大の勝因は何といっても武豊騎手の手綱捌き。
キズナに騎乗し今年のダービーを制覇したときと同じようにスタートを切ってから馬の行く気に任せ手綱を抑えず引っ張らず、かといって単に馬任せにして手綱を投げっぱなしにするわけではなく、馬が自然に気分良く走ることができる力の加減が絶妙です。その手綱の扱い方や腕の確かさにはつくづく感心します。馬にとっては負担を感じることなく楽に走れるため、少々ペースが速くてもゴールまで脚がもったのでしょう。
馬の邪魔をしない。そのために背中で余計な動きをしない。いかに馬の脚質や性格に合ったレースをして能力を最大限に生かすか。武豊騎手は騎手として基本的なことは完璧です。
基本が身についているからこそ経験やセンスによって技術はより確かなものになり、そこに自分なりの感覚を取り入れて「この人ならでは」という素晴らしい勝ち方ができるのだと思います。手綱操作や鞭の扱いなどは本当に惚れ惚れするほどで、そういうところを意識して見るのもレースの楽しみのひとつです。

注目していたGⅠ馬レインボーダリアは6着に敗れました。
中団の位置取りで、追い込み馬にとって不向きな流れの中をあのポジションから6着なら、マズマズといったところでしょう。パドックで見た馬体は、昨年エリザベス女王杯を制したときに比べて幾らかトモの張りがないように感じました。今回叩かれたことで次走は好走してくれるのではないかと期待しています。

1番人気に支持されながら10着と大敗を喫したエアソミュール
展開がこの馬に向かなかったこともありますが、ここまで着順が悪くなってしまった最大の敗因は折り合いのひと言に尽きます。終始馬群に揉まれっぱなしで、口を割って(苦しがって)いるシーンが見られました。
快勝した前走の巴賞では上手く内に入り折り合いをつけるスムーズなレース運びをしましたが、今回は逆。この馬は位置取りによって“乗り難しさ”があるような気がします。3枠6番だった今回よりも内枠に入ったときが狙い目かもしれません。

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2013年7月14日 (日)

7月20・21日の注目馬情報

注目ランクMM
福島信 厩舎
ナムラドキョウ
※函館5-12R・渡島特別・ダ1700mに出走予定

流れが向いたとはいえ、昇級初戦の前走が中団から外を回ってまとめて差し切るという鮮やかな勝利。未勝利、500万と連勝、昨年の9月以来の騎乗となった古川吉も「以前とは見違えるくらいに力をつけている」と驚いていたそうだ。今回は昇級戦。時計短縮など課題は少なくないが、ハンデ戦で斤量の恩恵があり、何よりも今の充実振りならばイキナリ食い込んでも全く不思議はない。

注目ランクB
堀 厩舎
サトノプライマシー
※福島8-10R・横手特別・ダ1700mに出走予定

勝って同条件だった前走は2着に敗れたが、勝ち馬ダブルスターは先週の準オープンで2着と、一言、相手が悪かったと割り切れる一戦。戸崎の評価も高まっており、再度1000万クラスなら今度こそ決めたいところ。その戸崎が中京遠征のため、今回は石橋脩が手綱を取るが、以前に乗って「コレはかなり走る」と惚れ込んでいたという経緯もあり、その意味でもココは結果を出したい鞍となっている。

注目ランクB
田中清 厩舎
フルヒロボーイ
※福島7-12R・3歳上500万下・ダ1150mに出走予定

休み明けながら降級戦ということもあって人気を集めた前走だったが3着まで。しかし、騎乗した戸崎に言わせれば「休み明けのせいか行きたがってしまい、自分のリズムで走れなかった」とのこと。「力は十分にある」とも話しており、ここガス抜きが完了した叩き2戦目、距離短縮とあればアッサリ巻き返すシーンが想定できる。現時点で手綱は松岡に託されるとのこと。ひとクラス上の実力を見せ付けたい。

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2013年7月10日 (水)

馬の力を引き出す馬場読みの技術

例年は、7月に入ったとはいえ雨雲は厚く、本格的な夏の到来はまだ先のこの時期。今年は梅雨らしさを感じることがあまり無いまま暑さは増していき、気づいたら日差しはすでに真夏のそれへと移っていました。
福島競馬場では先週、すっかり夏競馬のお馴染みとなった「サマー2000シリーズ」の初戦、第49回七夕賞が行われ、柴田大知騎手騎乗の1番人気マイネルマクリマが2着に2馬身1/2差をつける完勝で昨年の京都金杯以来2つ目の重賞勝利を飾りました。
柴田大騎手は勝利ジョッキーインタビューで「前めの位置につけたかった」と話していました。以前の七夕賞は福島競馬最終日に行われていて、梅雨の時期ということもあって馬場の内側は悪いのが当たり前という状態なので、たとえ距離を少しロスすることになっても馬場が荒れていない外を回ってきた方が明らかに最後は脚が伸びました。けれど今年は、7月上旬という七夕賞の時期は同じでも、開催最終週から2週目にスライドしたことで芝は内側も全く荒れておらず良い状態を保っていました。小回りの福島競馬場で内が良い状態ならば、そこを通らなければ勝ち負けできないと言っても過言ではありません。実際に他レースの結果を見ても芝レースは逃げ、および好位でレースを進めた馬が好走しています。これは少々オーバーペースになったとしても、馬場が良いためゴールまでバテずに脚がもってしまうということです。
ゆえに柴田大騎手は3番手の位置につける騎乗をしたのでしょう。これまで得意としていた中団から進めるレース内容を選択した場合、おそらく外を回らされてしまい前を行く馬を捕らえることができなかったと思います。柴田大騎手の作戦勝ちですね。
ここ数年ラフィアンの主戦騎手として結果を出してきた柴田大騎手は、春のNHKマイルCで平地GⅠレース初制覇を果たしたことでますます自信をつけたようで、レースぶりを見るとすぐにわかるほど余裕をもって騎乗していました。本当に良い味を出す騎手になりました。

2番人気ダコール、3番人気エクスペディションは、良いところを見せられずそれぞれ5着、7着。
ダコールは後方からのレースとなりました。道中は末脚勝負に賭けてじっと我慢し、直線で外から追い込むも伸びきれずに終わりました。渋った馬場が影響し思うように伸びなかったとダコールの手綱をとった蛯名騎手が言っていましたが、この日の馬場状態では馬が持つ切れ味も効力が薄れてしまうと感じていたでしょうし、それ以上に今の芝の状態が前を行く馬が止まらないものであることをわかっていたはず。勝ち負けを期待される2番人気の馬に跨るのであれば、もっと違う乗り方をしてほしかったと思います。
エクスペディションは中団に位置していたものの、終始外を回らされる展開だったために脚をためられなかったことが影響したようです。馬の力を出し切れたマイネルマクリマと力を出せなかった2頭、これが今回のレースでの決定的な差なのだと思います。
馬にとって何がベストか、騎手は常に考え悩むものですが、それが上手くいったときは例えようの無い喜びを感じます。ダコールとエクスペディションも、現時点でできる最高の走りを次走で見せてくれることを期待しています。

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2013年7月 7日 (日)

7月13・14日の注目馬情報

注目ランクMM
加藤敬 厩舎
コモノドラゴン
※函館4-12R・北海ハンデC・芝2600mに出走予定

間隔が開いて少し太かった前走、逃げてレースを引っ張るもバテて5着まで。「休み明けでキョロキョロと物見をして集中していませんでした。もし負けても叩いてこのレースで良くなると思っていました。その通りに気合が乗って明らかに気配は上がっています。距離延長は望むところだし、ハンデもそんなに重くならないでしょう」と厩舎サイド。鞍上の川須騎手が土曜日の競馬騎乗停止になり来週は乗れないため、現時点で鞍上は未定だが、難しいタイプではないので問題ないだろう。

注目ランクMM
鈴木孝 厩舎
レギス
※福島6-10R・鶴ヶ城特別・ダ1150mに出走予定

勝ち馬との手応えの差は歴然だったが、この馬もよく踏ん張って3着以下には4馬身の差。稍重で走りやすい馬場だったにせよ、軽快なスピードは目を引くものだった。距離は1200mがギリギリのタイプだが、逆に短くなる分にはプラス材料。この条件はピッタリ嵌る感触がある。

注目ランクMM
松永幹 厩舎
ノーブルコロネット
※函館3-12R・湯浜特別・芝1800mに出走予定

厩舎でも桜花賞を狙っていたほどの期待馬だが、カイ食いが細く馬体が減り続けてしまう弱さがネックで出世が遅れてしまった。仕切り直しとなる今回は函館に出走。牧場から直接函館競馬場に移動して入念な調整が行われているようだ。タイプ的に一発目が狙い目であり、血統的にも洋芝は歓迎のクチ。改めて期待馬の真価を問う。

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2013年7月 3日 (水)

これぞベテランならでは好判断

夏の福島開催がスタートし、先週は3歳馬による重賞レース・第62回ラジオNIKKEI賞が行われました。
1着からシンガリまでの差が0.9秒以内と、公平な競馬ができるよう個々の成績や能力に合わせて斤量を課すハンデ戦らしい、とても見応えのあるレースでしたね。

道中からゴールまで、どの馬が勝ってもおかしくないほど白熱した戦い。馬群を抜け出し1着でゴール板を駆け抜けたのは伏兵、8番人気のケイアイチョウサンでした。
この馬はスタートで僅かに後手を踏み、後方からの競馬をしました。
騎手は当日のレースまでに様々なパターンの走りを思い描き、そのイメージに沿う形で騎乗できるよう努めています。しかしケイアイチョウサンの鞍上・横山典騎手はこのレース、はじめから後方でレースを進めるつもりではなかったと思います。たまたまゲートで出負けしてしまったものだから腹をくくって、最後方でじっと我慢し脚をためる作戦に切りかえたのでしょう。

スタートが切られた後の騎手は、レースが始まるまでの「思考」から「感覚」に移ります。思い描いたとおりの展開であればそうでもありませんが、例えば出負けした場合、それはほんの一瞬の出来事であり、また一瞬の判断の遅れがその後の走りに大きく影響するため「出遅れたから押していかなきゃ」「遅れたから後ろから行こうかな」などと考えて動いているわけではなく、出していったり控えたりするのは騎手の感覚に因るものが大きいと思います。考えるのではなく感じる。レースの流れを感じ、自分達がおかれている状況を感じ、そしてベストな走りをするために身体が即座に、敏感に応じてゆく。出遅れて、手綱をしごき追いかけるか、または後方からジワジワと行くか、さらには直線まで全く動かずにいるかなどの選択は、同じ騎手であっても騎乗馬やレース状況によって変わりますが、そうした判断は経験で磨かれる以外に、やはりその騎手の性格や感性が現れると思います。

福島競馬場は小回り。
騎手にはそのイメージが強く根付いているため、どうしても早仕掛けになりやすく、直線が短いこともあり、3コーナー、あるいは3コーナー手前から仕掛けだす光景が少なからず見られます。このラジオNIKKEI賞でも、3コーナーの手前から馬群は徐々に動き始めていましたね。そこから動いてしまうとゴールまで600m以上もの距離があります。これは東京競馬場に置き換えると、あの長い直線に向く前から動き出しているということになり、ゴールまで脚がもつとは考えられません。小回り&短い直線にとらわれてしまうのか、それとも集団心理なのか、とにかく自分だけ置いていかれるわけにいかないとばかりに動いていってしまうのでしょう。 横山典騎手は、皆が動いたときにも焦らずインで脚をためていました。 ただ、これは非常にリスクの高い乗り方でもあります。開幕週は馬場の内側も最高の状態で馬群が殺到し、そこを後方からインを突いていくのは一か八かの賭けで、進路が開けば鮮やかに差しきれるのですが、壁が立ちはだかったままであれば脚を残して負けてしまいます。結果、横山典騎手は勝負に勝ち、その判断は大正解です。度胸と冷静さが備わっているベテランならではの見事な騎乗でした。 注目馬ガイヤーズヴェルトはブービーの15着。 中団からレースを進めましたが外を回る位置取りで、道中少し気負っているように見えました。全く脚がたまらないまま仕掛けどころになってしまった感じで、1番人気馬としては見せ場がないレースぶり。今回がまだ5戦目とレース経験が少ないために、うまく流れに対応できなかったのかもしれません。今後、場数を踏んで精神的にも成長していけば、また良い走りを見せてくれると思います。

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