« 2012年9月 | トップページ | 2012年11月 »

2012年10月

2012年10月31日 (水)

天皇賞・秋のレース回顧

近代競馬150周年を記念し天皇皇后両陛下の御前で行われた第146回天皇賞。
上位4頭に人気が分散する中、堂々の1番人気に推されたのは、僕達、関係者の間で「影の3歳最強」と以前から言われていたフェノーメノでした。成績が示すとおり(東京3-1-0-0)いかにも府中向きのこの馬。小細工や紛れが発生しにくく馬の能力を最大限発揮できる府中に向くということは、かなり馬に力がある。僕も最有力馬として取り上げました。また距離が向かないわけではなく勝ち負けすら期待できる、フェノーメノにとっては一生一度の菊花賞に出走せずに、歴戦の古馬を相手にする天皇賞に賭けた陣営の意気込みにも感じ入りました。
レースでは4番枠のためスタートから無理なくインを通り、好位をがっちりキープ。直線に向くと外へ出して鋭く伸びたものの、最内を通って抜けてきたエイシンフラッシュの決め手には及ばず2着に敗れました。鞍上の蛯名騎手は位置取りもレースの進め方も全てが完璧な騎乗でした。レース後に「どうして内があんなに開いてしまうかな」とこぼしていましたが、確かにこのレースで2着になった騎手ならば言いたくなりますね。自分が完璧な騎乗で勝利を目前にしながら、他の騎手の甘い騎乗によりかなわなかったとき、単純に力負けしたのとは比べ物にならない悔しさ、未練が残ります。

このレース最大のキーパーソンは、カレンブラックヒルの鞍上・秋山騎手ですね。
シルポートの大逃げは度外視し、実際にレースの流れを作っていたのは秋山騎手。3番手以降は絶対に自ら動くことはないので思い通りの展開に持ち込めますが、シルポート自体G1にしては決して速くないペースで逃げていたので、大きく離れた2番手以降は遅いくらいでした。カレンブラックヒルはこれまでのレース同様、スッと2~3番手を取りにいったまでは良いのですが、2番手の自分がラクに行けるペースというのは、それより後ろに行く馬たちにとっても脚をためやすい大歓迎の流れということ。できればあとほんの少しだけ前に出して、他馬に脚をためさせない程度に、それでいて自分の馬の脚を使いきらないようなペースで引っ張っていけば良かったかなと思いました。
ただ、前を行きつつ後ろの馬も抑えて走るのは、技術的にも精神的にも非常に難しい(だからこそ、逃げの名手と呼ばれる騎手が生まれるわけですが)。慎重かつ大胆な騎乗が求められますが、今回の秋山騎手は、5連勝中、さらに前走のG1馬たち相手に完勝したカレンブラックヒルを大事に思うあまり慎重に乗りすぎた感じ。
あと、シルポートも今回のレース結果に大きな影響を与えました。最後の直線であれだけ内を空けていたのは、逃げ馬としては珍しいかもしれません。もしもシルポートが内にピタッとつけて走っていれば、カレンブラックヒルが直線でスピードが落ちたシルポートとの衝突を避けて外へ出すことは無くそのまま真っ直ぐ走れて、エイシンフラッシュが内から抜け出るのは無理でした。またカレンブラックヒルも他馬が脚を十分にためられないペースで進めていたら、エイシンフラッシュはあれほど鋭く伸びてこられなかったでしょう。
つまり今回、フェノーメノは勝てるパターンだったにも関わらず、本来勝てなくても仕方ない位置のエイシンフラッシュに敗れてしまったわけで、それがレース後のデムーロ騎手の「内が空いたのでラッキーでした」と、蛯名騎手の「何で内が空くかな」という言葉につながるのです。
とはいえ競馬に「もしも」は禁句。馬の強さだけではなく、他の要素によって負けることもあります。シルポートもカレンブラックヒルも自分の競馬をしただけで、ミスと言えることは何一つしておらず責められません。運が僅かにエイシンフラッシュへ向いた、ただそれだけでしょう。フェノーメノの次走は、馬に問題がなければジャパンカップとのこと。馬の力と蛯名騎手の腕を僕は信じて疑いません。好勝負を期待しています。

さて優勝したエイシンフラッシュ。
鞍上がM.デムーロ騎手に決まったと聞いた時からずっと、その存在は頭から離れませんでした。馬の強さ以上に騎手に魅力や怖さを感じる、そんな騎手はそういません。
6枠12番と外寄りでいながら、スタート後じわじわと内へコースをとり、向正面に入ったときにはすでに内ラチ沿いにいました。ここが彼の上手いところ。
普通この枠から馬なり、もしくはレースの流れなりに走ると、スタート後すぐに現れる2コーナーで遠心力により外に振られ、向正面に入るときには馬場の4分・5分どころを走る状況になります。かなり意識して乗らなければあのポジションをとることは不可能。プロの騎手としてレースに対する意識の高さは素晴らしいと思います。日本にも蛯名騎手や横山騎手、武豊騎手などが高潔でプロ意識の強い騎手はいるものの、そう多くはありません。
そして前に馬をおいて壁を作っておき、完璧な折り合い。その場面を見た瞬間、この馬がフェノーメノの相手だと直感しました。
エイシンフラッシュもデムーロ騎手に導かれ、ダービー馬の名にふさわしい見事な走りを見せてくれました。歴史ある天皇賞、それも7年ぶりの天覧競馬での勝利により、再びその名を高めましたね。
ゴール後に下馬し、天皇皇后両陛下へ最敬礼をするデムーロ騎手は、まさに誰もがイメージする騎士そのもの。あれは日本人騎手はしない、というより想像すらできません。JRAの騎手は検量室前で「下馬」の声がかかるまで、馬の故障などアクシデント以外で下馬することは許されないと徹底した教育がされているし、もともと一般的な日本人にとってあの姿は馴染みが薄く、もし行ったとしても不自然な姿になるでしょう。欧米人ならではのカッコ良さでとても絵になっていました。
天覧競馬といえば、7年前の天皇賞をヘヴンリーロマンスで制した松永騎手の一礼もじつに清々しく、厳かな空気に包まれた印象深いものでした。どちらが良いというのではなく、両陛下に対する想いを伝える彼らの姿が胸を打つのでしょう。
競馬ファンとして、日本人として、忘れられないレースとなりました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年10月28日 (日)

次週注目馬速報

僕が参加しているWORLD競馬webから来週出走の注目馬です。今週、勝った人も負けた人も頭をリフレッシュして、次の競馬を楽しみに待ちましょう。

サトノヒーロー
藤沢和 厩舎 (注目ランクB)
ご存知、前走は勝負話を本命公開、的中馬券をお届けした馬。本格化著しく、その勝ちっぷりは本当に鮮やかだった。気性を考慮して距離を詰めたという前走の経緯を考えれば、今回、マイルに戻ることがどう出るかという一抹の不安もあるが、まだまだ上を目指せる器であることは明らか。その走りに注目せずにはいられない。
(東京1-12R・3歳上1000万下・芝1600mに出走予定)

セトノフラッパー
南井 厩舎 (注目ランクMM)
シッカリ乗り込んでのデビュー戦だったが、陣営のトーンといえば「素直で前向きですよ」という程度。まずは使ってからというジャッジだった。実戦では中団からキッチリ脚を使って3着も、騎乗した川田に言わせれば「いや~、エンジンがなかなか掛からなくて」とのこと、やはり初戦向きのタイプではなかったようだ。その分、叩いた効果は大きく、この中間は調教師も「競馬慣れするし、コレは変わる」と自信あり気の様子。狙いの叩き2戦目、今度は初勝利まで。
(京都2-1R・2歳未勝利牝・芝1400m内に出走予定)

サトノフェアリー
宗像 厩舎 (注目ランクB)
父ディープインパクト、母ジャッキーテーストという良血で、セレクトセールにおいて3300万円で取引された馬。全兄プレミアムテーストは堀厩舎に入厩したが、この馬は宗像厩舎に所属となった。10月初旬から坂路主体に調教を開始し、最近はコース追いも取り入れて順調に乗り込んでいる。仕上がり早の牝馬とのことで、来週もうひと追いすればほぼ仕上がるという話。鞍上田中勝騎手で新馬勝ちを狙っている。
(東京2-6R・2歳新馬牝・芝1600mに出走予定)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年10月24日 (水)

菊花賞のレース回顧

ダービー馬ディープブリランテが屈腱炎で直前に回避、さらにトライアルのセントライト記念で強さを見せつけ快勝した、ダービー2着馬フェノーメノが天皇賞に向かい不出走。
これに神戸新聞杯の圧勝劇を見てしまうと、ゴールドシップの単勝1.4倍という圧倒的な支持も当然だったと言えるでしょう。

そんな大きな期待を背負い、2冠制覇に臨んだゴールドシップ。
スタートダッシュがあまり良いとは言えず、無理せず最後方からレースを進めました。最内の1番枠のため、中団につけようとすると内側で外から包まれる形になり、馬群に揉まれて動きたいときに動けなくなったり、そのために仕掛けが遅れてしまう状況になる恐れがあります。これは、マークのきつい大本命馬であれば尚更のこと。そんな意識から、内田騎手は、ロスの多い外を回す方がまだリスクが少ないと判断したのでしょう。レースにおいて、騎手は絶対的にコースロス の少ない内に潜りこむ騎乗を考えるものですが、あえて外を選んだことに、鞍上の内田騎手の自信がうかがえました。
レースは平均ペースで進んでいましたが、ゴールドシップは向正面の途中から外を回り仕掛けていき、3コーナーでは好位に取りつきました。パッと見ただけでは、一気に仕掛けて脚をけっこう使った印象を受けましたが、内田騎手いわく「直線に向いてから後方一気の競馬をしたのでは届かないと思い、少しずつ出した」とのこと。
騎手の言う「少し出した」というのは、感覚的に本当にごく僅か、ハミを馬に譲ってあげるということであり、一般的に思われている仕掛けとは全く違うものです。それなのにゴールドシップは脚をグングン伸ばし前へ上がっていました。少しハミを緩めるだけであの常識外の反応、これはもう馬の能力で、他の馬にはそうそう使える脚ではありません。
4コーナーを回り直線へ向く寸前、内田騎手は左右を確認していましたが、どの馬がやってくるのか、どの馬が最後のゴール前までの相手となるのかを見る余裕が彼にあったのだと僕は感じました。それだけ手応えも良かったのでは。
京都競馬場の3コーナー手前から脚を使い出し、ゴールまで他馬を寄せ付けず走りぬいてしまうレースぶりに、いかにも長距離に向く脚質を感じます。また古くからの競馬ファンにとってその芦毛の馬体は母父メジロマックイーンを彷彿とさせ、感慨深いレースとなったのではないでしょうか。
そして、あらためて内田騎手の度胸ある騎乗には感心してしまいました。さすが一流騎手。これほどの人気馬に騎乗し、実績を考えても絶対に負けられない大舞台、迷いや焦りが手綱に表れてしまう騎手は少なくはなく、ベテラン騎手であってもここまで平常心(に見えました)を保ってベストな騎乗をするのは難しいか もしれません。意地や執念といった熱い感情が騎乗に出るイメージは無く、風や水のような爽やかで悠然とした雰囲気があるので、もともと少々のことでは動じない性格なのでしょうね。

ゴールドシップと内田騎手が強い競馬をしたこともあり、逆に、2着以下の争いは熾烈になりましたね。
2着はメンディザバル騎手騎乗のスカイディグニティ。ゴールドシップを徹底的にマークし、同じようなタイミングで動き出し、最後まで渋太く食い下がりました。以前から長距離での走りに光るものを感じさせていた馬であり、やはり距離が延びて良さが出たようです。そして、鞍上のメンディザバル騎手の手綱も見事。「ボクは長距離が得意なんだ」と周囲に語っていたという話を聞きましたが、それを自身の手で証明してみせましたね。
そして、3着はユウキソルジャー。前走が終わったあたりから、本番での穴馬と注目していた存在でしたが、改めて長距離戦に対する高い適性を見せたと思います。秋山騎手が想定していた以上に馬群が固まってしまい、かなり窮屈な競馬を強いられてしまいましたが、最後にグングン伸びて3着を死守した点は評価できます。なぜなら、決め手不足を補うために、本来はもう一列前で競馬をしたかったはずの馬。ベストの作戦が取れたとは言えないでしょう。それにもかかわらず、大きく崩れずに走れた。力のある馬でなければこうはいきません。地味な存在ですが、この馬も一流のステイヤーに成長する可能性を残しています。是非、 今後も忘れずに注目していただきたいものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年10月21日 (日)

次週注目馬速報

このブログを楽しみにしてくれている方にお知らせです。いよいよ来週は天皇賞、秋競馬も佳境に入りますね。毎週、日曜日の夜には一喜一憂すると思います。しかし次の週もまた競馬はあるんですよね。
勝った人も、負けた人にも、次週の競馬を改めて待ち遠しくなって頂きたく、今週から毎週日曜の夜には、僕が参加しているWORLD競馬webで取り上げている次週の注目馬を掲載することにします。是非、来週の競馬をチョッとだけ見てみて、いっしょにワクワクしましょう!

アドマイヤドバイ
橋田 厩舎 (注目ランクB)
新馬戦では人気を裏切ったが、当時はソエが痛かったらしく、「突っ張って走っていた」とのこと。全力を出し切っての敗戦ではなかった。栗東に入ってからも順調に乗り込んでおり、今週は持ち乗りが乗っていい動き見せていた。何より、わざわざ池添が厩舎に来てこの馬の様子を見にきていたというのだから、その期待の大きさは明らか。2戦目で本領発揮と行く。
(京都8-3R・2歳未勝利・芝1600m内に出走予定)

ドレミファドン
中川 厩舎 (注目ランクMM)
3ヵ月半ぶりの前走、気持ち太めだったことに加え、スローな流れも向かずに5着までだった。それでも57.5キロという重いハンデを背負って崩れなかったように力の一端は垣間見せていた。一度使って実績のある東京2100m、今回もそれなりにハンデは背負わされだろうが、実は、前走時から「叩いてこのレース」という話も。上位争いに加わってくることだろう。
(東京8-11R・赤富士S・ダ2100mに出走予定)

レオハイタッチ
杉浦 厩舎 (注目ランクB)
中山1600mのレコードホルダーである半兄レオアクティブが上にいる良血馬。デビュー戦は調教の動きが一息、体もポテポテでいかにも仕上がり途上。事前の予想通り後方からの追走になったが、エンジンが掛ってからは兄を彷彿とさせる伸び脚でデビュー勝ちを飾った。前走がそんなデキだっただけに、一度使った上積みは絶大。東京へのコース替りも不安はなく、ココに来て厩舎内では評価が急上昇しているそうだ。
(東京9-8R・くるみ賞・芝1400mに出走予定)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年10月17日 (水)

秋華賞のレース回顧

ここ茨城では金木犀が花盛り。僕のいる育成牧場にも金木犀が塀沿いにズラッと植えられており、若木ながらたくさんの花をつけてくれました。僅かな期間しか楽しめない華やかな香りに包まれ、秋の深まりを実感するこの頃です。競馬もこれからが秋本番、ほぼ毎週GⅠレースが続きます。

先週は京都競馬場で秋華賞が行われ、2冠女王ジェンティルドンナが登場。鞍上の岩田騎手は、単勝1.3倍と圧倒的人気を背負いながらも焦る様子を見せず直線勝負の乗り方で、先に抜け出していたヴィルシーナをハナ差とらえ見事優勝、史上4頭目の三冠牝馬としてその名を刻みました。
レース展開は、逃げ馬が前半の1000mを62.2秒という超スローのペースを作り出したため、後ろから行く馬にとってはかなり不利な流れになりました。その不利なポジションで競馬を進めていたのがジェンティルドンナ。それでも最後はしっかりと伸びて、差しきってしまうのだから相当強い。ペースや展開などこれ以上ないというくらい理想的なレースが出来たヴィルシーナに対し、明らかに不利だったジェンティルドンナがたとえハナ差であっても勝ってしまうのですから、着差以上の強さとはまさにこのこと。どれほど強くても三冠達成は難しいものですが、やはりこの馬の能力の高さは3歳牝馬の中でずば抜けていますね。

この秋華賞でジェンティルドンナの強さ以上に目を引いたのは、2着馬ヴィルシーナの鞍上、内田騎手の騎乗です。結果的に三冠レース全てで2着と、はっきりと勝負がついてしまったことは悔しいと思いますが、ジェンティルドンナに勝ってやろうという強い意志を感じる今回の乗り方にプロとしての意地を見ました。
春は好位で上手くレースを進めても勝てず、秋華賞の前走・ローズSではジェンティルドンナをマークする形をとって追撃するも2着。内田騎手はどうしたらジェンティルドンナに勝てるか色々試して、考えに考え、今回の「逃げ」を選択したのでしょう。スタート直後の出ムチを入れる気迫あふれる姿には、とても好感をもちました。馬の強さだけではなく、騎手のこうした戦法や駆け引きも競馬の楽しさですね。
そしてもう1人、内田騎手と同様、見ていてワクワクさせてくれたのがチェリーメドゥーサに騎乗した小牧騎手です。前半の流れが遅いと感じるや、向正面から一気にスパートし先頭に躍り出ると、後続馬を10馬身ほども引き離しての大胆なレースぶりに、競馬場内でも大きなどよめきが上がりました。結果は5着でしたが、15番人気の全くのノーマークだったチェリーメドゥーサがここまで好走したのだから立派です。普通に中団あたりで追走していって、最後の直線でチョロッと伸びての5着よりも、印象が強烈ではるかに見応えがあります。今年の秋華賞は、同世代の頂点に立つジェンティルドンナに正々堂々と挑む内田騎手と小牧騎手、この2人の騎乗が潔く、何とも快いものとして心に残りました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年10月10日 (水)

毎日王冠&凱旋門賞のレース回顧

秋の東京開催がスタートしました。
先週のメインレースは毎日王冠。3週間後の天皇賞・秋を目指す馬がステップレースとして出走してきましたが、今年はまるでG1レースのような豪華なメンバーが揃いました。
G1ホースが6頭いる中、堂々の1番人気に支持されたのは、5ヶ月ぶりの出走となる3歳馬カレンブラックヒル。これまで4戦4勝、春にNHKマイルカップを勝っているとはいえ古馬に混じっての1番人気ですからたいしたものです。もともとの能力の高さに加え、夏を越してからの状態が良かったことが、今回の期待へとつながったのでしょう。
レースでは好スタートを決めると3番手で折り合いをつけ追走、前が飛ばす中を、鞍上の秋山騎手は少しも動じることなく(無理についていこうとせず)離れて騎乗していました。3、4コーナーで僅かに手応えが怪しくなったものの、直線を向くと再加速して前を行く馬をあっさりと捕らえ、後続の追撃も封じる完勝。内容は文句なし、強いのひと言です。
カレンブラックヒルは、騎手にとって実に乗りやすそうですね。鞍上の意思を理解し、周りの動きに惑わされず自分のペースを崩さずに走る、非常に賢い馬だと思います。
さらに距離が延びる次走の天皇賞でも、目が離せない1頭になりそうです。

それにしても、今回の秋山騎手は慌てる様子もなく、とても落ち着いた騎乗をしていましたね。デビューから10数年、ずっと好成績を維持し、最低でも30勝以上、2006年には73勝もの勝ち星を挙げている彼のG1初勝利は、カレンブラックヒルのNHKマイルカップでした。以前から腕もセンスも抜群でしたが、今年G1レースを勝ったことで自信がつき、ますますその良さが磨かれたように思います。騎乗フォームがとても綺麗で、僕が好きな騎手の1人です。腕が確かで美しい騎乗、こういう騎手が増えたら競馬はもっと面白くなると思いますよ。

その毎日王冠が行われた日曜日の夜、フランス・ロンシャン競馬場で凱旋門賞が行われ、日本の誇る三冠馬オルフェーヴルが、快勝した前走フォワ賞に続きスミヨン騎手を鞍上に迎え出走しました。
枠番は大外。凱旋門賞を2勝しているスミヨン騎手が、この枠に入ったオルフェーヴルにどう乗るのかということに最も注目しながら観ていました。
スタート後、徐々にポジションを下げ、折り合いの難しいオルフェーヴルを内側に入れて壁を作る完璧といえる騎乗をしたことは、さすが世界の一流騎手としか言いようがありません。
直線で外から伸びてあっという間に前を抜き去った脚は、オルフェーヴルの強さ・凄さを世界中に知らしめるもので、残り300mで先頭に立ったときの勢いは、2着馬に一体どれだけの差を付けて勝つのか!?と思うほどでした。残念ながら内で脚をためていたペリエ騎手騎乗のソレミアに差されてしまい、結果は2着。
先頭に立つのが早かったために意識が逸れてしまったことが敗因と言われますが、仕掛けてから一瞬で、他馬を置いていってしまうほどの脚を使えるオルフェーヴルに対し、その強さをあらためて感じました。次はどんなレースを見せてくれるのか楽しみにしています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年10月 3日 (水)

スプリンターズSのレース回顧

いよいよ秋のG1シーズン、開幕です。その第1弾スプリンターズSが行われた9月30日は、台風17号の影響で阪神競馬は翌日に延期、関東も夜には暴風雨に見舞われましたが、中山のレースに支障はなく、晴れた良馬場で迎えることができました。
優勝は2番人気ロードカナロア
開催週金曜日のニッカンスポーツ紙上で僕は本命に挙げていたので、今回の勝利はとても嬉しいですね。岩田騎手は前走セントウルSに続き2度目の騎乗でしたが、前走の敗因をしっかりと心に留め、同じミスは絶対にしないという意気込みが感じられました。
「どんな乗り方をしても勝てるはず」と考えているような強気の騎乗をして、少々早仕掛けになり、武豊騎手騎乗のエピセアロームに足元をすくわれましたが、今回はどっしりと構えて脚をためるだけためて直線で一気に解放。素晴らしい脚を使い、見事G1勝利を挙げました。
前が競って予想以上のハイペースを作り上げてくれたおかげで、差し馬にとっては理想的な流れ。ただ、展開が向いたとはいえ勝ち時計1分06秒7(レコード)は立派です。これまで11戦し[6-4-1-0]と競走馬として優秀すぎるほどの成績からもわかるとおり、かなり力がありますね。勝つべくして勝ったという感じです。
このレース、岩田騎手はとても乗りやすかったのではないでしょうか。
なぜなら1番人気カレンチャンが1つおいた隣の枠に入り、その動きを見ながらレースができたからです。どのレースでも、脚質が似ている本命馬がすぐそばにいるというのは騎手にしてみたら最も乗りやすく、自分が相手の外側にいられるのなら尚更です。他馬の動きを気にすることなく、カレンチャンだけを目標にレースを進められ、岩田騎手には非常にラクなレース展開でした。

逆に、ロードカナロアに目標とされたカレンチャンはキツかったと思います。実績ナンバー1のカレンチャンはマークされる立場であり、自力でレースを作らなくてはいけないのですから。鞍上の池添騎手は、僅かなミスすら許されない気持ちだったと思います。しかしそこは3冠ジョッキー&スプリント女王、好位から自ら動いていき完全な勝ちパターンに持ち込みました。申し分のない騎乗です。現役のスプリント女王として、その貫禄を示すには十分な内容だったと思います。ただ、今回はロードカナロアの成長力と、勝つための戦略が上回りました。
前走は馬体重が明らかに重くいかにも動きにくそうでしたが、スプリンターズSに合わせてしっかりと身体を作ってきました。ここまで完璧に仕上げてくる安田隆調教師の腕はさすがですね。同厩馬によるワンツーフィニッシュで、厩舎はいっそう活気あふれるものとなるでしょう。

最後に、3着ドリームバレンチノについても触れておかなければなりません。当日9番人気という低評価はハッキリ意外でした。関西から入ってきた話では、相当イイということでしたから。前走の敗因が明確であり、今回は主戦の松山騎手がかなり手応えを感じていたとのこと。コチラにいる関係者の間でもチョッとしたウワサになっていたんですよ。
直線で少し捌くのに苦労したのは惜しかったですね。あれがなければカレンチャンを交わしていたことでしょう。あまり世間的には伝えられていなかったようですが、それができるだけの能力とデキ、今回は走れる態勢が整っていました。いい馬券になりましたね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年9月 | トップページ | 2012年11月 »