« 2012年8月 | トップページ | 2012年10月 »

2012年9月

2012年9月26日 (水)

先週の重賞レース回顧

先週は阪神競馬場で第60回神戸新聞杯が行われました。このレースで3着までに入った馬にはクラシック最後の1冠、菊花賞の優先出走権が与えられます。
優勝したのは1番人気、皐月賞馬ゴールドシップ
スタートはそれほど速くなく、外枠も関係してか後方からのレースになりました。もともと前を行く馬ではありませんが、そっと出した感じのスタートからは「このポジションを狙う」などといった無理にどうこうする雰囲気は感じられず、鞍上の内田騎手も流れに任せる乗り方をしていたように思います。速めのペースで道中もそれほど緩まなかったことも良かったですね。ラスト半マイルあたりから動き出して残り200mでは独走となり、最後まで脚いろが衰えることなく完勝。外々を回しながら2着馬に2馬身差をつけるまさに横綱相撲でした。

重賞ウィナーのヒストリカルの他にも、重賞で好走実績のある馬が数頭出走しましたが、やはりゴールドシップの戦績・力は他馬に比べ圧倒的です。この世代を引っ張っていかなければならないクラシックホースとしては、春のライバルたちや夏の上がり馬が集結する菊花賞に向け、夏を越して順調に仕上がっていることをアピールするためにも絶対に負けられないレースでした。それは内田騎手も重々承知していたでしょうから、結果的に強い勝ちっぷりを見せられたことで今はホッとしていることと思います。

ただ、菊花賞ではどう評価しようか悩む人も出てきたのでは。
メンバー的に勝って当然と思われるし、ペースのわりに勝ち時計が思ったほど速くなかったこと。あと、馬の能力を信じて任せる乗り方をして、積極的に勝ちにいった内容ではなかったのも気になるところです。今回、もしもゴールドシップが負けていたとしたら、それが体重の大幅増などで惜しい2着ならともかく、伏兵に上手く乗られて足元をすくわれるような負け方であったとしたなら、今回のレース内容は少し楽観的すぎた気がします。
とはいえ結果的には、強い馬が強い競馬をして勝ったという事実が全て。菊花賞でどんな展開になったとしても、内田騎手なら臨機応変に動き、この馬にとって最適な走りをしてくれるのではないでしょうか。

先週の中山競馬場メインは第58回オールカマー。
2番人気のナカヤマナイトが昨年の共同通信杯以来、2度目の重賞勝利を挙げました。
この馬は皐月賞やダービーで掲示板に載るなど、昨年春のクラシック戦線をにぎわせた1頭です。鞍上の柴田善騎手は以前、まだ馬が(身体が出来上がっていないため)弱く道悪だとノメったり、トモをとられたり、走りのバランスが良くないと言っていましたが、この1年間でずいぶん成長したようで、力強い走りを見せてくれました。
3コーナーから好位にとりつくと逃げ馬をピタリとマークし、最後は力でねじ伏せるような勝ちっぷり。

確か昨年、共同通信杯をこのコンビが勝ったときに次のことを記しました。
“騎手はレースを通じて馬に競馬というものを教えるのが仕事で、色々なポジションを経験させてその馬の性格や脚質に合った走りをする。柴田善騎手は馬に教えることに関して非常に優れた騎手。その彼がナカヤマナイトに限っては放任主義で、走りのリズムを大事にし気分よく走らせることを心がけているような気がする”
オールカマーを見て、柴田善騎手が昨年とレースのやり方を変えたように感じましたが、まだ弱かったために馬をそっと動かして最後の直線にかける乗り方をしていたということでしょうか。それでも当時の「馬の性格や能力を熟知し信頼しているからこういう競馬をする」との考えは現在も変わりません。デビュー戦からすべてのレースで手綱をとる柴田善騎手がナカヤマナイトに寄せる信頼は本物だと思います。
馬が逞しく成長したことで自信を持って臨んだオールカマーで、自ら動いて主導権を握り押し切るレースができたのは大きな収穫。この馬は、これからさらに強くなりそうな気がします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年9月19日 (水)

ローズS&セントライト記念のレース回顧

3日間開催だった先週の競馬。日曜日は阪神競馬場で第30回ローズSが行われました。
牝馬3冠レース最後の1つ、秋華賞の優先出走権がかかるレースにしてはやや寂しい11頭立て、さらにハナズゴールが前日に感冒のため出走を取り消して、最終的に10頭でのスタートとなりました。これは桜花賞とオークス2冠を制したジェンティルドンナ、両レースで2着のヴィルシーナ、3歳牝馬の2強が揃って出てきたことで、いくつかの陣営はこのレースを避けたと思われますが、確実に権利をとりたいと考えたらそれも仕方ありません。

今回のローズSは、新たなライバルの台頭というより、単勝1.5倍という圧倒的人気を背負った女王ジェンティルドンナが、夏を越した現在、秋華賞に向けてどんなレースを見せてくれるのか、またヴィルシーナが力をつけて逆転なるか…、その点に注目が集まりました。
結果はジェンティルドンナが貫禄の勝利。
良いスタートですぐに好位に取りつき、折り合いも完璧。競走馬は久しぶりの出走で折り合うのが難しくなるときがありますが、この馬はそんな心配など吹き飛ばすようなスムーズな走りをしていました。直線に入るときに鞍上の岩田騎手が仕掛けると、即座に反応し先頭に踊り出て、あとは後続馬を寄せ付けずにゴール。この余裕の勝ちっぷりを見てしまうと、三冠達成も決して夢ではないなと思わされます。

月曜日の中山競馬場では、菊花賞トライアルのセントライト記念が行われました。ダービー2着以来の出走となったフェノーメノが、前日のジェンティルドンナと同じようなスムーズなレース運びで完勝。鞍上の蛯名騎手が馬の強さを肌で感じながら、自信たっぷりに騎乗をしていたのが印象的でした。この馬は折り合いの心配がなく、距離が延びても大丈夫。菊花賞に向けて期待がふくらみます。まだ天皇賞・秋出走の可能性もあるそうですが、個人的には、ぜひとも同世代相手に最後の1冠を手にし、ダービーの悔しさを晴らしてもらいたいと思います。
一部で盛り上がっており、私も注目していたダノンジェラートは、直前に降った雨が微妙に影響してしまった様子。特に、パンパン馬場なら2着馬スカイディグニティに負けることはなかったのではないでしょうか。本当に悔しい3着でした。ただ、この浅いキャリア、しかも外枠のロスを乗り越えての走りは立派の一語。今後、かなり出世してくると思います。是非、この馬の名前は覚えておいていただきたいですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年9月12日 (水)

京成杯AHのレース回顧

秋の中山競馬が開幕しました。
4月半ばから4ヶ月以上ものあいだ競馬開催が無かったため、春から夏にかけてすくすくと育った芝は最高の状態。フカフカでまさに緑のじゅうたんです。
昔から、9月の中山はこのように状態が良く、いかにも速い時計が出そうな馬場でしたが、先週のメインレース・京成杯オータムハンデのタイムにはさすがに度肝を抜かれました。
優勝したレオアクティブの勝ち時計は1分30秒07の日本レコード。サラブレッドがマイル戦を1分30秒台で走破するなど考えられませんでした。1999年、改修前の新潟(僕もモンレーブという馬で出走していた関屋記念)でリワードニンファが1分31秒06の世界レコードとなる数字をたたき出したときも、まさか32秒を切る馬が出てくるとは…と驚きましたが、今回はそのとき以上に衝撃的な時計です。
より速く、より強くと生産者が試行錯誤し誕生する競走馬。馬場保全委員の方々が開催に備え、一生懸命に整備し改良を重ねてきた美しい馬場。そしてトレセン関係者が取り入れてきた最新の設備やトレーニング法、医療。たった10年、20年の間にこれほどのタイムが出せるほど日本競馬が進化したのは、競馬に携わる多くの人たちのおかげでしょう。

さてレース、レオアクティブの鞍上・横山典騎手がまたまた魅せてくれました。
先々週土曜日の札幌2歳S(コディーノ)、日曜日の新潟記念(タッチミーノット)、そして今回ととにかく「上手い」のひと言です。
中団よりやや後方に位置し、じっと動かない。手応えはかなり良かったはずなので、普通の騎手なら3コーナーあたりから前との距離を詰めるために少しずつ動かしていったり、もし内側が詰まりそうなら隙を見つけて早めに外へ出しておくなどするものですが、彼は微動だにしません。一か八かのイン狙いに決め、脚をためるだけためて、まるで獲物を狙う獣のように静かにチャンスをうかがっていました。これは胆が据わっていないとできない乗り方で、プレッシャーや焦りがすぐに表れるような騎手は、耐えられずに動いてしまいます。同じ騎手だったからこそわかる、彼の凄さ。その上手さに嫉妬すら覚えます。
その昔、千代の富士という力士が、全盛期には憎らしいほどの強さを誇っていましたが、最近の横山典騎手もそんな感じですね。

当日の情報でもお伝えしていると思いますが、今回は陣営の勝負度合いも非常に高かったですね。世間的には混戦重賞という評判だったようですが、前走で手綱を取った蛯名騎手も絶賛(今回、乗れないことをかなり悔やんでいたようです)しており、僕たちの間では「勝つのはこの馬だろう」という話で盛り上がっていました。
また、2着スマイルジャックに関しても、前走あたりから復調しているという話がアチコチで出ていたんです。一時は完全に終わってしまったかと思われていましたが、ココに来てイイ頃の動きを取り戻していました。今回あたり勝負を賭けるというウワサでしたが、12キロ減とキッチリ絞った馬体に、陣営の勝負度合いが見て取れました。納得の2着でしたね。

一方、阪神ではセントウルSが行われ、G1スプリンターズSを目標にする馬が集まりました。
1番人気は実績抜群ロードカナロア。レースぶりは安定していて、取りこぼしは無いと思わせる馬です。じつに乗りやすそうな雰囲気を持っていますね。少し早仕掛けで2着に敗れましたが、次のスプリンターズSでも当然1番人気に推されるでしょうし、きっちりと決めて期待に応えてくれるのではないでしょうか。
優勝したエピセアローム。計ったように差し切る、これぞ武豊騎手という勝ち方を観て、とても嬉しくなりました。今年の重賞勝利が今回で2度目というのには少し驚きましたが、トップ騎手としての使命や自覚を常に持ち続け、長年競馬界を支えてくれた彼には、もう記録や成績を求める必要はありませんね。身体を第一に考えてもらい、名手らしい上質な騎乗をいつまでも見せてくれること。それだけが願いです。
本番へ向けてという点で注目したいのはカレンチャン。今回は、レース前の段階で厩舎サイドが「今回はロードが上に来ると思う」と話しており、実際、その通りの結果となりました。しかし、マジンプロスパーを積極的に潰しに行った競馬は、明らかに次走を見越していたように見えました。これを使ってグッとレースに向けて気持ちが乗ってくることが予想されます。今回も負けて強しの競馬。昨年同様、本番でキッチリ変わってくる、そんな印象を持ちました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年9月 5日 (水)

新潟記念のレース回顧

夏の新潟開催が終わりました。
今年は秋にも新潟開催が行われますが、重賞は先週の新潟記念でラストですね。
優勝は大野騎手騎乗のトランスワープ
前走の函館記念に続く重賞勝利を挙げ、2012年のサマー2000シリーズ王者に輝きました。もともとデビュー時から成績は悪くない馬でしたが、1年半の 休養から復帰した昨年夏以降さらに本格化し、好走を続けていました。キャリアは20戦と7歳馬にしては少なく、馬がとても若くて元気なので、秋以降も楽し みです。
前半1000m通過の60.4秒という数字は過去2年と比較してもほぼ変わらないものの、上がりが速くてレースの上がりは33.1秒。そんな中トランス ワープはメンバー最速の上がり32.3秒の脚を使い、中団から差し切りました。出走した18頭中10頭が32秒台ということからも馬場状態の良さがわかり ますが、いくら毎年馬場が良い新潟競馬場とはいえ最終週でこれほどの時計が出るのはちょっと珍しい。やはり8月にほとんど雨が降らなかったことが影響して いますね。

鞍上の大野騎手も良かった。
函館記念では、それまでが2~3番手など前々で競馬をしていたため当然そのつもりだったのが、周りの流れにより自然と中団のポジションになってしまい、 「思い通りの位置取りができず少し焦った」とのこと(とはいうものの騎乗はじつに落ち着いたもの)でしたが、それでも予想外の展開にも動じることのない大 野騎手の腹の据わった騎乗とロスの無いコース取りで快勝。それでこの馬はこういう競馬もできるんだと気付いたのでしょう。
この新潟記念での大野騎手は、最初から中団で追走すると決めて乗っていたように思います。前回の走りをしっかり頭と身体に叩き込み、馬を信じてどっしり構 えて乗る。前走の経験を活かした見事な騎乗でした。こういうレースを観ると、次につながるという意味では、(もちろん乗り替わるには事情や理由があります が)あまり頻繁に鞍上が替わらないほうが良いのかなと思います。

2着はタッチミーノット
好スタートを切り、前へ行きたい馬を行かせたあとに3番手をがっちりキープし、上手に流れに乗り追走していました。直線では内から抜け出し伸びてきましたが、勝ち馬に外からの強襲を受けて2着。理想的なレース運びで敗れたことは仕方ないという他ありません。
鞍上の横山典騎手は前日の土曜日に札幌2歳Sを制していますが、そのときもスタートで馬を出していき、すぐに折り合いをつけて好位を取りに行く乗り方をし ました。この一貫した姿勢は見ていてとても気持ちが良いもので、今さらながらその上手さに見惚れてしまいました。新潟記念と札幌2歳S、この2つのレース は、どちらも横山典騎手がレースの「核」だったように感じます。ファンにとって信頼できる、本当に心強い存在ですね。

どんなレースをしてくれるのか、楽しみにしていたトーセンラーは、伸びかけたんですが伸び切れず7着。飛んでくれませんでしたね。左回りに関しては恐らく 問題なく見えました。結果的には上がりが速過ぎたと言うことかもしれません。夏場を使ってきた事がどれだけ影響するかはわかりませんが、次の競馬でも改め て注目してみたいところです。

今回のこのレース、鮮やかな勝利を飾ったトランスワープの秋は楽しみですが、この結果は先々の能力比較には当てはまらないと思います。まさに「ここだけの」結果、こういうレースがたまにあるので今後のために気を付けたいですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年8月 | トップページ | 2012年10月 »