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2012年6月

2012年6月27日 (水)

宝塚記念のレース回顧

6月がそろそろ終わり、早いもので2012年も半分が過ぎようとしています。
先週は阪神競馬場で上半期を締めくくるGⅠレース宝塚記念が行われ、人気投票第1位、そして堂々の1番人気に支持されたオルフェーヴルが優勝を飾りました。
暮れの有馬記念を制した後は、3月の阪神大賞典でまさかの2着、そして前走の天皇賞(春)では悪夢の11着。さすがに今回は単勝1倍台にはなりませんでしたが、まだ100%のデキではないと言われながら、それでもオルフェーヴルの強さを信じ続けるファンは多かったはず。その想いに応えるような素晴らしい走りでしたね。

レースは逃げ馬ネコパンチが前半1000mを58.4秒のハイペースで引っ張り、オルフェーヴルにとって最大の課題であった折り合いがラクについて、無理に抑えこむ騎乗をしなくて済みました。スムーズな追走ができたことが何より大きかったと思います。
そして鞍上の池添騎手の、大胆でいながら考え抜かれた騎乗も良かった。
現在の阪神競馬場の芝コースは、内側が悪く外がよく伸びる傾向が顕著で、実際、他の上位人気馬に跨っていた騎手は全てが3・4コーナーから外の方へと出していき、直線で芝の良い場所を通るよう騎乗していました。
ところがオルフェーヴルの池添騎手は、仕掛けを遅らせてインで待ち、前を行く馬が早めに外へ進路をとったことを確認してから内を突き、一気に追い出しました。
騎手としては馬場の悪い内側は避けたいと考えるのが当然。それを池添騎手はなぜ、あえて内を狙っていったのでしょうか。
まずこのオルフェーヴルが、道悪を苦にしないタイプということ。それと僕の憶測ですが、外に持っていくことで逸走した前々走のような状態になってしまう恐れを抱いていたために、インでじっと我慢するレースを選んだのではないでしょうか。
しかし、あれほど馬場が荒れて伸びない場所を通っていながら、あの脚を繰り出せるのだから凄い。着差以上の強さを見せつけましたね。現役最強馬はやはりこの馬です。

注目していたウインバリアシオンは4着。
これまでよりやや前めの位置取りでレースを進めて、3コーナーから早めの仕掛けで上がっていき直線では外に出す、このレース内容は良かったと思います。
オルフェーヴルを負かすにはレースをどう進めたらよいか、どう動けばよいかという岩田騎手の気持ちが、観ているこちらにも伝わりました。もしも勝っていたなら、岩田騎手のファインプレーによる勝利と言われるほどの乗り方だと思います。
確かに、ウインバリアシオンは決め手のある馬なので、もっとじっくり構えて乗っていれば着順は1つ2つ上がっていたかもしれません。ただ、それではオルフェーヴルには勝てないから賭けに出た。岩田騎手の思い切りの良さとウインバリアシオンの新たな魅力が見られた、良いレースだと思います。

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2012年6月20日 (水)

先週の重賞レース回顧

先週から夏の福島競馬が始まりました。17日の福島6Rは、1着コウズシャインの単勝払戻額が福島競馬史上最高となる3万2890円という高配当。場内は大いに盛り上がったのではないでしょうか。鞍上は二本柳騎手。僕が現役の頃から今も、変わらずに接してくれる友人の一人で、やはり好きな人が勝つと嬉しくなりますね。
それに福島は僕が最も好きだった競馬場。この時期はGⅠシーズンほどの華やかさはありませんが、夏競馬ならではの雰囲気はなかなか楽しく、できれば現地で観戦したいものです。今は無理でも、そのうちゆっくりと福島で競馬を楽しめたらいいなと思っています。

さて、福島よりひと足早く始まった函館競馬では、第19回函館スプリントSが行われました。1.3倍の1番人気に推されたのは、福永騎手騎乗ロードカナロア。すでに重賞2勝、GⅠレースでも好走した実績を持っているので当然といえる圧倒的人気です。
レースは先に行く馬を行かせて、それを見る形で追走。ポジションは良く、1番枠でロスのないスムーズな騎乗ができていました。ただ最後だけ、直線に入ったところで前の3頭が横一線に並び、その間を割っていきたくとも馬が入れるだけの隙間がなかったことが残念でしたね。やむなく外に出して追ったものの、先に抜け出していたドリームバレンチノに3/4馬身届かず2着に惜敗。
前にいる数頭の馬が横一線に並んでいたとしても、全てが同じスピードではないし、どこかしら開くものだと騎手は考えるものです。今回その考えは通用しませんでしたが、これは1番人気馬を封じるために3人の騎手が上手くやったのか、それともたまたま開かなかっただけなのかはわかりません。今回の負けは勝負のアヤというしかありませんね。
ご存知のとおり函館は全国のJRA競馬場でもっとも直線が短い競馬場ですが、そのことは今回のレースでかなり感じました。東京ならば直線は倍の長さがあるので、展開はガラッと変わっていたでしょう。単純に能力だけでは計れない、これもまた競馬の面白さですね。

優勝は2番人気ドリームバレンチノ。
鞍上の松山騎手は、デビュー4年目の若手ですが、今年はかなり好成績をおさめています。
経験が自信や技術の向上につながっているのでしょう、じつに上手い騎乗をしました。
この馬は2番人気で、勝つためには1番人気の(人気は馬の力関係を表しているという前提ですが)ロードカナロアを徹底的にマークしながらの追走が理想的で、松山騎手はその通りのレース運びをしていました。さらには直線でロードカナロアが進路を探すのに手間取っていたところ、すかさず外から蓋をしながら横に並び追い抜いていったことには感心しました。思いがけない展開にも即座に対応しなければならない騎手にとって、この冷静で素早い判断(計算)と行動は大切。その若さでこんな騎乗ができる松山騎手の、これからのレースぶりにも注目したいところです。

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2012年6月13日 (水)

先週の重賞レース回顧

東京競馬の開催を終える頃になると、美浦トレセン周辺には何となくひと区切りついた空気が感じられます。周囲の2~3歳馬たちがレースに向けて本格的に動き出したり、春に活躍した馬が休養で北海道へと発ったり。夏競馬の始まりを実感します。

先週は、東京競馬のフィナーレを飾る重賞・第29回エプソムカップが行われました。
超良血トーセンレーヴと好調ダノンシャークが人気を分け合う形のレース、やはりこの2頭が抜け出し、人気と同じく僅差の決着となりました。重賞初勝利のトーセンレーヴですが、重賞以外のレースではOP3勝を含む5戦5勝、すでに能力は一線級。母ビワハイジの素晴らしい産駒実績からも、あとはいつ勝つのかだけが注目されていました。

レースではスタートが良かったためか、掛かり気味に追走することになり、見た限りでは折り合いをつけるのに少し時間がかかっていました。この時点で、トーセンレーヴが勝つのはちょっと厳しいと僕は考えてしまいましたが、2、3番手のポジションでそのまま直線へと向かうと、早めの仕掛けで先頭に立ち、押し切ってゴール。
前半から掛かり気味で、なかなか落ち着かなかった馬を、よくゴールまで脚をもたせられるものだと思います。騎手だった僕でも、ウィリアムズ騎手の騎乗には驚かされますね。

そういえば、今までにも度々、こんな光景を目にしていました。
鞍上のウィリアムズ騎手が前めの位置を積極的に取りにいき、最後は前をしっかりと捕らえてゴールするという、そんなレースを。常識的に考えて、直線でバテて着外になってしまうような展開。
なぜ彼が騎乗することで、馬が脚を止めずに最後まで走りぬくことができるのでしょうか。思うに、馬に対する「あたりの柔らかさ」が理由かもしれません。
「あたり」が硬いと、馬は不快に感じて、当然走りにも影響します。掛かっている馬を力任せに引っ張るのではなく、手綱を引いて抑えつつも馬とケンカしない絶妙なポイントをつかんで乗ることが大事。この感覚は口で説明することはとても難しく、騎手同士でないと理解できないでしょうが、ウィリアムズ騎手はその感覚が人一倍優れているのだと思います。騎手に必要な感性、そしてその感性を騎乗に反映させるための高い身体能力や精神力。それらが彼の騎乗技術として発揮され、馬の走りに現れるのではないでしょうか。

こうしたものは天性の部分が大きいとは思いますが、同じ「騎手」。
見て、学んで、言い方は悪いですが盗めるところも多くあるはずで、それを自分のものとして消化することにより、さらなる進化が期待できそうな気がします。
自分のスタイルが確立されているベテラン騎手はともかく、若手の騎手は見たり取り入れたり、柔軟な姿勢で色々と試すのもよいかもしれません。

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2012年6月 6日 (水)

安田記念のレース回顧

府中でしばらく続いたGⅠレースも、先週の安田記念でひとまず終了。あとは阪神競馬場で行われる夏のグランプリ・宝塚記念を待つだけとなりました。
今年の安田記念はかなり難解で大いに悩みました。とはいえ、その悩みは「帯に短したすきに長し」というパッとしないメンバー構成だからではなく、どの馬にも素晴らしい実績と力があるために本命馬を決めかねるという、とても贅沢なものでしたが…。

そんな混戦を制したのは、福永騎手騎乗のストロングリターン。昨年の同レースでも2着に入った実力馬で、今回は単勝6.7倍の2番人気でしたが、1番人気 のサダムパテックが6.6倍と差は全くなく、ファンの期待に応える形での優勝となりました。もともと、大崩れすることなく堅実で安定した走りを見せる馬で すが、休み明けの前走・京王杯スプリングCを使ってからは、状態がいっそう上向いていた様子。陣営はかなり自信があったのでは。
レースは、絶対的な逃げ馬であるシルポートが先頭に立ち、リアルインパクトが突っついていったために、最近の高速馬場の傾向を考慮しても予想以上のハイペースとなりました。
そうなると完全に前崩れの展開。ストロングリターンは中団よりやや後ろにいましたが、脚をためることが出来るこの位置取りが、直線の伸びにつながりました。
福永騎手の騎乗内容も良いですね。展開が向いたとはいえ、コース取りがじつに上手かったと思います。

現在、JRAのGⅠレースで有力馬に騎乗する騎手といえば、岩田騎手か福永騎手のどちらかの名がまず挙げられますよね。実際、福永騎手は今年も多くの人気馬、その中の何度かは1番人気になるほどの馬とともにGⅠに参戦してきました。ただ、結果は思うようにいかず、彼自身、焦りや苛立ちを感じていたでしょう し、特に先週のダービーは是が非でも勝ちたかったと思います。
騎手というのは、本来とてもプライドが高く自身の感性や腕を信じて騎乗します(また、そのく らいでないと就けない仕事だと思います)が、そういう状態が続くと、次第に判断に迷いを感じるようになったり、いつもと違う騎乗を試みてスランプを抜け出そうとしてしまったり。それがまた悪循環になるときがあります。
若い頃から大舞台で活躍してきた福永騎手ですから少々のことで心が挫けることはないでしょうが、それでもこの安田記念で結果を出すことができて、ひと心地ついたところかな。この夏にアメリカ遠征を予定しているとのこと、秋の彼の騎乗ぶりが楽しみです。

2着に13番人気グランプリボス。鞍上は内田騎手。この馬はすでにGⅠレース2勝の実績があり、最近のレースぶりから人気こそ落としていましたが、展開さ え向けばこれくらいは走って当然の力を持っています。ただ相手関係やペース・展開で「このレースは走り頃」という、狙い時を見極める目は必要かもしれません。
先週のダービーで1・2番人気を背負い4・5着に敗れた(1番人気ワールドエース・福永騎手、2番人気ゴールドシップ・内田騎手)2人の騎手が今回好成績をあげたことが、何となく不思議で面白いと思いました。

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