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2012年5月 3日 (木)

先週の重賞レース回顧

第145回天皇賞・春が京都競馬場で行われました。
歴史ある大レースを制したのは関西馬ビートブラック。その鞍上は関東の10年目ジョッキー・石橋脩騎手でした。石橋脩騎手がデビューした2003年から約4年間は僕もまだ現役で、当然接する機会はありましたが、彼には当時から好い印象をもっていました。騎乗技術があり、また周りの人に可愛がられる素直な雰囲気をもった青年なので、きっと若いうちからGⅠレースを勝てるような華やかな騎手に育つのだろうと思っていました。そのとおりデビュー初年度に25勝を挙げると、その後も騎手として順調な道程で、とうとうこの天皇賞で初めてのGⅠ勝利。若々しい勝利騎手インタビューを微笑ましく観ていました。

ビートブラックの勝因は、石橋脩騎手の思い切りの良さだと思います。
今の京都競馬場は前残りの高速決着、つまり少々とばしてもバテずに残るという馬場状態になっていますが、石橋脩騎手はこの馬場を味方にし、2番手から早めの先頭で押し切る大胆な行動に出ました。ギリギリまでスパートを我慢するのが普通ですが、彼は馬の力(脚)を信じて追い出しました。この乗り方でなければ、多分勝利はつかめなかったと思います。
向正面では縦長の状態。あれだけ先頭から離されたら、他の騎手はそのうちバテるはずと深追いはしないものであり、また自分が動くことで馬の脚を使うのも避けたいので、誰かが先に動いてくれると期待しつつ自らは動かずに進めます。まして大本命であり最高の実力を持っているオルフェーヴルの姿が見えない時点では周りの騎手は行動を起こしようがありません。
レースの流れ、先頭と後続馬の関係、本命馬の位置、様々な要素が重なって助けられたのは確かですが、いくら人気薄とはいえ度胸のある騎乗をした石橋脩騎手に拍手を送りたい。

注目馬は何と言っても単勝1.3倍の支持を得た三冠馬・オルフェーヴル。
多くのファンが勝利を疑うことなく見守っていたレースで、まさかの惨敗を喫しました。
このような強い馬が負ける理由は、勝ち馬と同じように幾つかの要素が絡み合うからでしょうが、まずは調教再審査のために普段は乗らない(ダート)コースでの調教を積んだことで馬に硬さが出てしまったのではないかと思いました。
それとメンコ。
メンコはレースに集中するために周囲の余計な音を遮断する目的でつけるもので、オルフェーヴルは以前は着けていませんでした。メンコを着けて臨んだ今回、1周目の折り合いのついた走りからは効果が見られたものの、その代わりに周りから受ける刺激による闘争心が若干薄れたのでしょうか。僕が調教師の立場だとしても、当然メンコ着用は手段として用いたと思いますが、欠点でもあり長所でもあるオルフェーヴル自身のナチュラルな走りというのが才能であり、強さの基なのかもしれません。
敗因はおそらく他にもあるでしょうが、4コーナーで外にふくれたところでは、走るのを少し嫌がっているようにも見えて、いかに強い馬でも何らかの事由により力を出し切れなくなるものだと、あらためて思い知らされました。
池添騎手の騎乗は予想通り後方からで、これは前走をふまえたものであり、騎手なら誰もが同じ乗り方をしたでしょう。今回はレースのアヤに加え、馬が昨年とは違っていたことが予想外でした。これからどのように馬を仕上げるのか、次走では再びあの強いオルフェーヴルを見られるのか。目が離せません。

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