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2012年1月

2012年1月25日 (水)

AJCCのレース回顧

早いもので1回中山開催が終了、今週末からは東京競馬が始まります。
中山競馬最終週のメインレースはGⅡのアメリカジョッキーズクラブカップ。
今年もゴチャつかず、寂しくもない11頭という手頃な頭数。
重賞、それもGⅡともなると、やはりGⅠレースに次ぐ格で、数多くのオープン馬がぜひとも獲りたいタイトルのはず。だから出走頭数が多いのが自然ではないかと疑問に思われそうですよね。
確かに過去のAJCC優勝馬には、スペシャルウィークメジロブライトといった知名度の高いGⅠホースの名が見られます。ただ、1月のこの時期にGⅡに出走してくるような馬はそれほど多くなく、フルゲートになる年はありません。大抵が9頭~13頭の間ですね。
10頭前後の重賞レースでは、1頭に人気が集中しやすいもの。メンバーのほとんどがすでに重賞勝ちの実績があるとはいえ、今がピークのような調子の良さ や、安定した成績が残せそうな馬は限られ「抜けた1番人気」になりやすい。また実力馬が2頭の場合はまさにマッチレースで、記憶に残る名勝負となる可能性 も高くなります。
今回は約1ヶ月前の有馬記念に出走し4着の
ルーラーシップが断然の1番人気。
有馬記念では後方からの競馬で上がりは最速33.2秒の脚を使いました。これまでも3つの重賞を勝利、GⅠ勝ちこそありませんが惨敗は無い、かなり力のある馬です。

このAJCCが行われた日、馬場状態は数日間の降雨により不良。
芝のレースで馬場状態が悪化したときの騎手は、たとえ追い込み馬であっても、前からあまり離されずに騎乗することを心がけます。それはなぜか。答えは単純で、後方から進んでいって脚をためたとしても、手綱の手応えほど馬の脚が伸びてくれないからです。
馬にとって不良馬場で走ることは、想像以上に体力を消耗します。
ところがルーラーシップのレースぶりを見ると、位置は何と後方3・4番手。あの馬場であの場所にいて、本当に大丈夫なのかと疑ってしまいました。
しかし、4コーナー手前から前の集団にとりつき射程圏まで入れたあと、直線では他馬とはまるで次元が違う伸びを見せました。不良馬場をものともしない脚いろは圧巻でしたね。

鞍上の福永騎手の騎乗が上手いと思いました。
何と言っても馬の力を疑わず、自信をもって乗っていたところが凄い。
それは直線で馬場の5分どころ(走路幅の半分ほど)を通ったことを指しています。この馬の強さを心から信じていなければ、わざわざ距離のロスが大きい大外 まで持ち出すことはできません。いくら内側の馬場状態が悪くても、前を行く馬の間を割って出ることも考えているはずで、もちろんその方が戦略として悪くな い。結果的に圧勝の形でしたが、4コーナーの時点では、どのルートが良いかなんてことは誰にもわかりません。だからロスのない方を選びがちなのです。彼ら は一か八かの勝負に勝ったということでしょうね。
人馬一体という言葉がふさわしい勝利でした。

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2012年1月18日 (水)

京成杯のレース回顧

オルフェーヴルの三冠達成がつい最近のことのように感じられますが、年が明けて半月が経った先週、中山競馬場では、2012年クラシックをうらなう重賞・京成杯が行われました。こうして3歳馬たちが本格的に動き始めると、新たなシーズンの始まりを実感します。

競馬は1週間単位(の繰り返し)で構成されているためか、どうしても騎手や関係者には、1年という時間があっという間に過ぎ去ってゆく感覚に陥ります。し かし古いデータや強烈な印象・イメージといった思い込みにとらわれると、生き物である馬の「今の」状態を見誤り、また急成長している馬を見過ごすことにも なりかねません。ですから僕は、新しい情報を取り入れ、実際に走りを見て、騎手時代に磨いたレース感覚を錆びつかせないよう気をつけています。

現3歳勢では、暮れの朝日杯FSを制した
アルフレードが一歩リードしている感はありますが、やはりここからが、馬が本格化していく大切な時期。皐月賞まで の間に各地で開催される重賞レースを勝ち上がってくる馬、もしくは惜敗したものの次につながる競馬をした馬など見逃すことのないようにしたいものです。
この京成杯でも素質馬が揃い、白熱したレースが観られました。

優勝したのは単勝2番人気、ディープインパクト産駒のベストディールでした。
鞍上は、今年初めの重賞・中山金杯を勝ち、幸先良いスタートを切った蛯名騎手。中団にポジションをとり、焦りを全く感じさせない淡々とした騎乗でレースを 進めました。騎手生活26年目のベテランですから、少々のことでは動じずに冷静に騎乗できるのは当たり前ですが、3・4コーナーで上がっていくときに、前に単勝1番人気アドマイヤブルーがいたことも大きかった。「この馬さえ差しきれば勝てる」そんな明確な目標ができ、蛯名騎手の頭には勝利のイメージが鮮明 に浮かんだことでしょう。
直線で外に出すと、ベストディールは鞍上の狙い通りに伸びて、前を行く馬を差し切りゴール。余裕があると思わせる強いレース内容は、春がとても楽しみになるものでした。

2着には朝日杯FSで2着に好走したマイネルロブスト
道中は勝ち馬をマークする形で追走、3・4コーナーあたりでも抜群の手応えに、鞍上の津村騎手は馬の力を信じ、落ち着いて騎乗することができました。単勝5番人気とGⅠレース2着馬のわりには評価されませんでしたが、今回の走りで見直す人も増えたでしょうね。
脚質的にはジワジワと伸びていくタイプなので(過去に1回走り唯一の大敗を喫したといえ)直線の長い東京競馬場の方が、この馬に合っていると思います。

1番人気に支持され3着に敗れたアドマイヤブルーは、優等生のレース内容。
頭が良さそうで素直な馬との印象で、手綱をとった後藤騎手も楽にレースを進められたようです。ただ、直線の伸び脚に弾けるところが無く、馬が成長途上と感じました。
レース経験は今回が3度目、潜在能力は他馬に負けておらず、もう少し力をつけてくれば巻き返しの可能性は十分だと思います。

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2012年1月12日 (木)

重賞レース回顧

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
2012年は心から競馬を楽しめる、平穏な1年間でありますよう心から願います。
さて今年初めての重賞、金杯が東西それぞれの競馬場で行われました。

京都金杯を制したのは上原厩舎所属マイネルラクリマ
内枠(2枠4番)を活かしたロスの無い走りで折り合いをつけつつ脚をため、直線では、観ているものにも伝わるほどの良い手応えのまま、楽々と抜け出しました。
鞍上の松岡騎手は「この馬は今年、マイル戦で大仕事をやってのける(GⅠを狙う)」と全幅の信頼をよせていましたが、今回の勝利は、実現のための大きな一歩となりましたね。
騎手や調教師など関係者の想いを乗せ、このまま順調に進むことを願っています。
昨年は落馬骨折が目立った松岡騎手は年末に1ヶ月ぶりの復帰を果たしたものの、残念ながら金杯後の最終レースで落馬し再び休養に入ることになりました。関東期待の若手騎手だった彼も今年はデビュー10年目を迎えます。覇気がありがむしゃらな気質は個人的には好きですが、そろそろ「挑戦する若手騎手」ではなくベテラン騎手らしい自覚と貫禄をもった騎乗を期待します。焦らずしっかり治し、万全な状態で戻ってきてほしいと思います。

東の中山金杯は田中剛厩舎のフェデラリストが優勝。
スタート後は中団につけて鞍上の蛯名騎手との呼吸も完璧に合っており、4コーナーから外を回すと、前にいる馬をねじ伏せるように突き抜けました。3歳時は新馬戦1戦使ったのみで、実質、4歳になった昨年春がデビューみたいなもの。年齢のわりに浅めなレース経験で重賞に初めて挑戦するということで、これまでの勢いが通用するかどうか不安でしたが、折り合いは全く問題なく非常に乗りやすそうな馬です。昨年の好成績はきっと、勢いというよりは、(その血統からもわかるとおり)元々の素質がかなり高いうえに、成長により身がつまってきたからでしょう。強さを感じるような勝ち方を見せてくれました。
田中剛調教師は、競馬学校(当時は馬事公苑長期騎手課程)では僕の1つ上の先輩でした。
自分にも周りの人にも厳しい性格は10代だった当時も騎手時代もずっと変わらず、調教師になった現在もきっとあの頃のままでしょう。正直、後輩の僕にとっては少し怖い先輩で近寄りがたいのですが、その厳しさは確固たる信念や誇りといった「芯」があるからであり、だからこそプロとして素晴らしい仕事ができるのだと思います。
昨年暮れの中山大障害で調教師として初めてのGⅠ勝利を挙げ、普通ならいまだ余韻にひたっていてもおかしくない時期ですが、田中剛調教師は浮かれず気を抜くこともなく、厩舎一丸となって金杯に挑みました。この良い流れに乗り、今年は大暴れしてもらいたいところです。

そして正月の変則開催により月曜日に行われたフェアリーS。
優勝したトーセンベニザクラは道中、中団で脚をためてジッと我慢していました。
脚に余裕があれば外に出していきたいところを、前が開くまで待っていた津村騎手。彼がとても落ち着いて騎乗するようになったことに驚き、感心しました。過去の経験で培った忍耐力と、その気持ちに応えたトーセンベニザクラの脚が今回の勝利をもたらしました。
津村騎手はデビュー9年目、やはりGⅠタイトルは欲しいはず。まずは桜花賞。
紅の桜が満開になるところが見られるかもしれませんね。

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