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2011年12月10日 (土)

冬毛について

これから春先にかけ、冬毛のある競走馬をよく見ることがあります。犬や猫のペットを飼っている人はよく知っていると思いますが、動物は人間と違って、洋服や暖房で体温を調節することができません。ですから体毛を生やし、皮下脂肪を蓄えて寒い冬に備えます。
馬も汗をかき、皮下脂肪が少ない夏に比べ、冬が近づいてくると明らかに身体つきがふっくらとして、ひ毛(前髪やたてがみ、尾を除いた馬体全体に生える毛)が伸びてきます。皮膚も脂肪も毛も全てが厚くなっているため、普段よりもモッサリとして見えるかもしれません。

ただ、競走馬というのは、1年を通じて食生活や厩舎の温度・湿度、そして運動と徹底管理されているので、野生の動物ほど目に見えて大きな変化はありません。真冬とはいえない11月頃でも、美浦トレセンあたりの厩舎や牧場では、朝方の気温が低くなりそうな日には馬服を着せて夜を越します。これには、寒さから馬本来の防衛本能が働き、冬毛が伸びるのを防ぐ意味があります。このように競走馬は、人の手により1年中ピカピカな毛ヅヤを保っているわけです。

では、これほどまでに気を遣わなければいけないということは『冬毛がある馬は競走馬としてダメなのか?』という疑問が出てきますよね。この疑問に関して、結論から言うとダメということは無いと思います。僕も騎手だった頃、レースで数回冬毛のある馬に乗りましたが、全く走らなかったという記憶はありません。

冬毛にも許容範囲というものがあります。例えば、放牧休養明けの一戦目、もしくは二戦目であれば冬毛があってもおかしくありません。また、競走馬としての身体がまだ出来上がっていない(完成していない)馬も伸びやすいのですが、これは新陳代謝や筋肉量が関係しています。代謝が活発であればあるほど毛は伸びにくいのです。
さらに、ホルモンの影響から牝馬や去勢された馬は、牡馬よりも伸びやすい傾向にあるようです。ですから、少々の冬毛があってもダメだと決めつけずに、レース予想の際にはこうした状況を頭に入れてから検討をはじめた方が良いかもしれませんね。

ただ、冬毛が生えていること自体、あまり好ましくないのは確か。前記に「冬毛のある馬がダメというわけではない」と書きましたが、「走る馬の多くは冬毛が伸びていない」ということでもあります。
一般的に冬毛が伸びていない馬は、皮膚に美しいツヤがあり、鍛え上げられて代謝が良くなっているということですから、冬毛が目立つ馬に比べたら間違いなく状態が良い。例外があるとすれば、2歳馬で馬体が未完成でいながらも能力の高さで勝ってしまうとか、重賞で人気になるほどの実績馬でも、騎手がパドックで跨った時に「まだピリッとしてこない」と感じるような、仕上げ途上のケースなどでしょうか。冬毛の有無は、騎手にとってさほど気になることではありませんが、競走馬の仕上がり具合や体調の良さを知るうえでは目安になると思います。

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