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2011年11月16日 (水)

エリザベス女王杯のレース回顧

昨年の覇者スノーフェアリー、オークス馬アパパネサンテミリオンエリンコート、秋華賞を勝ち好調を維持するアヴェンチュラ、安定感抜群のホエールキャプチャ。そして、今年の牝馬3冠制覇間違いなしと言われたレーヴディソールの復帰戦でもあり、例年以上に好メンバーが揃って、見応えのある素晴らしいレースでした。

優勝はイギリスのスノーフェアリー、昨年に続きエリザベス女王杯連覇です。昨年の鬼脚は実に衝撃でしたが、今回も”世界の剛脚”と呼ばれるのが納得の走りを見せてくれました。

3枠6番に入った昨年のレースでは、1番人気・日本最強牝馬アパパネをマーク。スノーフェアリーより内にいたアパパネが勝負どころで外へ進路を取ると、すかさずインを突いて、鮮やかに抜け出しました。
続く今年は、8枠18番の大外。京都外回りの2200mコース、それほど枠による有利・不利は無いと思われますが、僕は、競馬というのは絶対的に内枠が有利との考えを持っています。しかも1番人気。マークすべき馬を何にするのか。鞍上のムーア騎手がどのような乗り方をするのか。非常に興味深く、楽しみに観ていましたが、期待以上の上手いレース運びで愛馬を勝利へと導きましたね。
スタート後、無理に好位を取りにいくことをせず前半は流れに任せ、後方から進みました。そして3コーナー、インが開いていることを確認すると、すぐさま進路を内へと変え、直線で抜け出すときが来るまでじっと我慢。そして、前の馬たちが馬場の良い外へと顔を向け始めると、自然にスノーフェアリーの前が開き、その後ムーア騎手が追い出すと、一気に馬群を割って突きぬけました。

開催場の京都競馬場は2開催続き、あと1週を残すだけ。芝の生育が遅れる時期に7週もの間、馬場を使用すれば、内側は悪くなるのは当然です。レースで外からの差しが決まる傾向になってくると、騎手は内を避けて馬場の良い外に出すレース運びをするのがセオリー。今回のエリザベス女王杯も、2番手でレースを進めたホエールキャプチャを除き、他馬は皆、内を嫌い馬場の4分・5分どころまで出していました。
そんな中、逆にスノーフェアリー鞍上のムーア騎手は、進路を内にとりました。外に出す行為が良い・悪いという意味ではなく、例えばJRA騎手にとって悪い(不利または勝機がない)と思うところでも、ムーア騎手は悪いと感じていない点に気付きました。
これは感覚の違いですね。普段ムーア騎手が騎乗している競馬場の馬場と日本の馬場では、芝の種類や状態、管理の仕方がかなり違うのではないかと思います。判断力や行動力もさすがのひと言で『どこを通れば勝利に最も近いか』との考えに基づいて騎乗しているようでした。過去の経験やデータを否定するつもりはありませんが、時には思い込みを捨ててレースに臨むことも良い結果につながると、ムーア騎手に教えてもらった気がします。

日本馬で人気を集めた岩田騎手騎乗アヴェンチュラは、少し勿体無いレースをしました。前が開くと確信して内を狙い、GOサインとともに抜け出してきたスノーフェアリーの剛脚、ムーア騎手の豪腕は確かに素晴らしいけれど、アヴェンチュラも力では負けていません。最後に外へ出したことでロスがあったのは、日本人騎手として仕方の無い選択だったと思います。ただ、その後の追い方で、少々粗削りな面が見られたことだけが惜しいですね。
もちろん、あれほどの実績を持つベテラン騎手ですから、レースにおける勝負勘や度胸などは申し分ありませんが、あまりに無我夢中に追ってしまう印象を受けます。『馬に余計な負担を与えずに真っ直ぐ走らせる』、その基本的なことを心がけて乗っていたら、ゴール前の叩き合いで際どい勝負が見られたのではないかと思います。

スノーフェアリーの強さとムーア騎手の大胆で緻密な騎乗を堪能するとともに、日本人騎手がこれから目指してゆく騎乗のあり方を考えさせられるレースでした。

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