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2011年11月23日 (水)

マイルCSのレース回顧

戦前より大混戦が予想されたマイル王決定戦、第28回マイルチャンピオンシップが京都競馬場で行われました。
前日からの雨で馬場発表は不良、ただしメインレース発走までには稍重まで回復。今回のように不良馬場から徐々に回復し、稍重、もしくは良と発表されるときと、パンパンの良馬場だったものが、当日の降雨により稍重にまで悪化する場合では、同じやや重でも馬場の状態は全く異なっています。
不良からの回復時は、比較的、外が有利な展開になりやすい。これは芝がそれほど荒らされていない外の方が、芝が剥がれている上に馬に踏まれてグチャグチャの内側よりも回復が早いためです。逆に良馬場からやや重になるときは、伸びやすい傾向にある内側がどうにか耐えられる状態を保っているということで、内が有利だとの認識が騎手の間にはあると思われます。

今回のマイルCS。京都競馬場は不良~稍重のため、当然外が良いはずですが、なぜかこの日に限り、内が伸びて外差しが決まらない馬場になっていたようです。当日のレースに騎乗していた騎手たちは、これまでの経験や実践に基づく「競馬の常識」が揺らぐような感覚に陥ってしまい、判断が難しかったのではないでしょうか。思い描いていたレース展開、作戦などを、また新たに練りなおすかどうか。騎手としての決断力、センスを問われる一戦となりました。
そして、レース本番。好位から抜け出し優勝した単勝5番人気エイシンアポロンは3枠5番、2着に好走の横山典騎手騎乗フィフスペトルは1枠1番。両者とも内枠を活かしコースロスなく進め、この日の京都競馬場の特性である「内が伸びる稍重の馬場」を読みきった、完璧な騎乗でしたね。
エイシンアポロンの鞍上・池添騎手は、手綱をとる予定だった田辺騎手の騎乗停止で、急遽乗ることが決まりましたが、代役とは思えない堂々としたレースぶり。デイリー杯2歳Sから朝日杯FS、そして皐月賞までコンビを組んでいたので、特徴をつかんでいたということもあるでしょうが、何と言っても池添騎手は今年GⅠレース5勝目を挙げた3冠ジョッキー。ノリにノッています。

3冠を達成したことで、競馬に対する自信がかなりついてきたのでしょう、レースを観ていても、どっしりと構えた騎乗をしていて隙が見当たりません。何をどう乗っても上手くいく力を身につけたような気がします。横山典騎手がロジユニヴァースに乗り日本ダービーを制したときも、それ以降しばらく絶好調の時期が続き、何をやっても良い方に行く、どんな戦法でも勝てる、そんな無敵状態の雰囲気を醸し出していました。
大レースの中でも、ダービーを勝つということは、それだけ騎手にとっては成長と自信とプライドをもたらしてくれる価値があると僕は思います。今の池添騎手は、毎週のレースに騎乗することが楽しくて仕方ないのではないでしょうか。エイシンアポロンはこれまでにも重賞を2勝している実力馬で、最近は特に調子が良く、今回の勝利に文句などありませんが、やはり勝因として池添騎手の存在は欠かせません。この馬場状態でこの乗り方をした池添騎手の決断力・行動力、そして強運と自信をもった騎乗がもたらした勝利だと思います。

2着フィフスペトルの横山典騎手も同じく素晴らしい騎乗でした。あれだけ完璧な乗り方をして、それで負けたのなら仕方ないとしか言いようがありません。今回あまり評価が高くなかったため悔しさを感じていた関係者にとっては嬉しい内容だったのでは。

1~3番人気馬が全て馬券に絡むことなく敗れたこのマイルCS。しかしレースを振り返ってみると、馬は十分に力があり納得の好走だったし、何より1・2着馬の騎手の好騎乗が見られたことでとても気分が良い。元騎手としては、なかなか見応えのある面白いレースでした。

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