« 2011年8月 | トップページ | 2011年10月 »

2011年9月

2011年9月28日 (水)

神戸新聞杯のレース回顧

秋のGⅠシーズンが近づき、前哨戦が目白押し。先週は阪神競馬場で菊花賞トライアル・神戸新聞杯が、中山競馬場では天皇賞・秋を見据えたオールカマー。次走のためにも目が離せないレースが続きます。

今回の注目馬はやはり、神戸新聞杯に出走したオルフェーヴルでしょう。
ダービー勝利から夏を越して秋初戦、単勝1.7倍の断然人気。どんなレースをするのか、どれだけ大人になったのか、楽しみに観ていました。
皐月賞、ダービーを制した2冠馬とはいえ、その2戦ともに、この場所から届くのかと不安になるようなポジションでレースを進めて、最後は直線一気の差し切り勝ち。勝ったから良いものの、見ている者にとってはヒヤヒヤさせる競馬をしていました。
しかし、今回は無難なスタートから4、5番手につけると、速いペースにもかかわらずピタッと折り合って、直線は持ったままで抜け出す圧勝、完勝。直線の走りを観て『強い』という以外の言葉は出ませんでした。もしも本気で追っていたら、一体どれだけの脚を見せてくれたのか…。とにかく強い馬です。
スタートが決して上手い方ではないため、軽い脚が使えずやや後方からの競馬をする以外に作戦が無かった春とは違う、文句なしのレースぶりに進境が窺えました。名実ともに2冠馬としての貫禄を持つ今、3冠はもう目の前といえるでしょう。
鞍上の池添騎手も、愛馬に対する絶対的な信頼か、それともダービージョッキーとしての自信からなのか、余裕を感じさせる雰囲気がありました。人馬ともに成長し、気合十分で挑む菊花賞。とても楽しみです。

単勝2番人気ウインバリアシオンは、ダービーに続いてオルフェーヴルの2着。
手綱を取った安藤勝騎手は当然、オルフェーヴルをマークする形でレースを進めました。勝つためには最良の騎乗だったと思いますが、直線の脚色は良かったものの、グングンと勝ち馬に引き離され、力の違いを見せ付けられてしまいましたね。ただ、折り合い面は問題なく、休み明けのレースとしては満足の出来だと思います。

3着には3番人気、3戦3勝でラジオNIKKEI賞を制したフレールジャックが入りました。
デビューからこれまでのレース全てが1800mということから、今回は距離が延びてどんな感じかと様子を見ていましたが、やはり道中は折り合いに少々苦労していたようで鞍上の福永騎手も「どこかでハミを抜いてくれたら良いのだけど…」と困っていた様子。次走は菊花賞に向かうかは関係者の判断ですが、おそらく3000mには適さないのでは…。僕個人としては、2000mまでのレースで活躍できる馬ではないかと思っています。
ただ、後ろの位置から、直線だけで3着に突っ込んできたあの脚は素晴らしい武器。調子が良いのはもちろん、地力が高い証明です。

人気通りの決着となった神戸新聞杯。本番の菊花賞でもオルフェーヴルが人気を集め、次いでウインバリアシオンとなるでしょうが、他の馬が食い込む余地があるのかどうかがポイント。他馬の状態もしっかりと見極めていきたいものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年9月21日 (水)

先週の重賞レース回顧 ~セントライト記念・ローズS~

先週は中山競馬場で菊花賞トライアルセントライト記念、阪神競馬場では秋華賞トライアル・ローズSが行われました。
いよいよ牡馬も牝馬も三冠最後を迎え、どの馬がタイトルを取るか目が離せませんね。

さて、セントライト記念。
津村騎手騎乗ロイヤルクレストが、超がつくハイペースでレースを引っ張りました。
単勝11番人気という気楽さもあったのでしょうが、スローペース症候群といわれる「上がりだけのレース」が目立つ近年、今回の津村騎手のように思い切りの良い逃げはじつに爽快で、観る者をワクワクさせてくれました。
ただ、逃げというものは、相当な技術が必要なのです。
ペースが速いと見せかけながらも、1~2ハロンあたりで息を入れるところがあったり、2番手との距離を縮めることのないように上手くペースを見誤らせたり…。それを津村騎手の場合、一気に1000mほどを超ハイペースで駆けたおかげでズルズルになってしまったわけで、例えば逃げの名手と言われる中舘騎手などとは全く違う内容です。
やはり騎手としては、自分が勝つために、もう少しペースを計算して騎乗したほうが良かったかなと思いました。でもその心意気は買いたいところ。今後に期待します。

優勝馬は、柴田善騎手騎乗のフェイトフルウォー
このペースに惑わされること無く、離れた先行集団でレースを進め、折り合いもスムーズだったようです。菊花賞は今回の2200mよりも長い3000mの勝負なので、この折り合い方を見る限り、非常に楽しみです。
血統も今年のダービー馬、オルフェーヴルと同じステイゴールド×メジロマックイーン。
何よりこのメジロマックイーンの肌が魅力で、競馬歴の長いファンならば、今年の活躍でその名が再び聞かれることになり、嬉しく思うのではないでしょうか。
フェイトフルウォーは、長く良い脚を使えるところが良いですね。この脚は京都3000mに合いそうで、最後の一冠を手にする可能性も決して低くはなさそうです。
伊藤伸調教師は、師弟関係など人との絆を大切にする、最近では珍しい昔気質なタイプ。
騎手はデビュー時の腕に個人差はそれほど無く(センスの多少はあるかもしれませんが)、実際にレースに乗ることで技術を身につけ成長していきますが、トップクラスの騎手を優先し依頼する調教師は多く、特に成績上位厩舎ほどその傾向が強いため、若い騎手はなかなか多くの馬に乗るチャンスはありません。
伊藤調教師に乗せてもらい、腕を磨いた騎手は少なからずいます。
小野次郎調教師・元騎手もその一人で、調教師になった今はその恩を、若手にチャンスを与えることで返していってくれるのではないでしょうか。
トレセン内でも格差は広がるばかりですが、このように人と人とのつながりや恩義を大切にする人たちがいるからこそ、競馬界は成り立つのだと思います。

秋華賞トライアルのローズSは、ホエールキャプチャが春の雪辱を晴らす快勝。
実力と安定感が評価されて桜花賞馬とオークス馬を抑えての1番人気、見事ファンの期待に応えてくれました。
スローな流れの中、鞍上の池添騎手は2・3番手でピタッと折り合いながら進み、直線は内から抜け出してゴール。着差以上の余裕を感じさせる勝利でした。
今回のようなレースができれば、秋華賞でも取りこぼしはしないと思いますが、一つだけ、この馬はあまりスタートが上手くないという唯一の欠点があり、それだけが心配ですね。
秋華賞は京都の内回り2000m。
このコースでは、なるべく前めに位置するのが望ましい。
前の方が競馬がしやすく、勝つためには絶対に取りたいポジションです。
今年の3歳牝馬でトップクラスの人気と力を誇りながらも、GⅠでは善戦どまりの同馬。三冠最後の秋華賞は、何としても欲しいタイトルでしょう。池添騎手がいかに上手くスタートを切るか、位置取りをどうするか。彼の騎乗を楽しみにしています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年9月14日 (水)

先週の重賞レース回顧 ~京成杯AH・セントウルS~

北海道では夏から続く札幌競馬が開催中ですが、他では中山や阪神競馬場へと舞台を移し、気分はすっかり秋競馬へと移りつつあります。
秋のGⅠシーズン、これから次々と目標とする大レースに直結する重賞が行われます。先週は、中山競馬場で京成杯AHがあり、阪神競馬場では秋GⅠレース第一弾スプリンターズSに狙いを定める各馬がセントウルSに出走してきました。

京成杯AHは単勝2番人気、横山典騎手騎乗のフィフスペトルが快勝。
久しぶりの中山開催、夏の間に青々と生え揃った芝は、パンパンの良馬場で最高の状態です。いかにもスピード競馬になりそうな馬場になっており、脚の速さ・軽さや決め手に自信がない馬にとっては辛いでしょう。
ただし、今回のレースはペースが遅くなり、比較的かかるクセのある馬でも折り合いがついてスムーズに進みました。その中でレインボーペガサスだけは、前半ムキになって走っていたようで、それが最後の脚に影響したのか、それとも57.5㎏の斤量がのためか3着まで。前走の重賞・関屋記念を制していながら3番人気に甘んじた同馬ですが、そんな展開でも上位に食い込むのだから、やはり力がありますね。
優勝したフィフスペトルは中団を手応え良く追走、直線に向いてからは実に力強い走りで抜け出しました。この馬は重賞で好成績を収めていた2歳時の成績を見てもわかるように、非常に高い素質をもっていましたが、4歳時に骨折のため約1年のブランクを負いました。
それでも復帰してからはかなり良い状態を維持し、今回パドックでその姿を見たときには、今まで以上に馬の出来が良く映っていました。これは騎手はもちろん、関係者全てが自信を持ってレースに臨んだだろう、と感じるほどでした。管理する加藤征調教師の腕に脱帽です。

そして、阪神のセントウルSでは、田辺騎手騎乗のエーシンヴァーゴウが制して重賞2勝目をマーク。
前走の北九州記念では1番人気ながら3着。その時の回顧で「ハイペースになるのが分かっていながら、逃げ争いをする3頭の直後につけて追走して最後は力尽る。馬の強さがわかる走りだったために、鞍上の勝利に対する焦りを感じるような騎乗が悔やまれる」といった感想を述べ、田辺騎手の騎乗は納得のいくものではありませんでしたが、今回は精神的に成長し、とても良いレースぶりでしたね。
2番手の位置で上手く馬をなだめつつ、じっくりと乗ることができたのが勝因でしょう。気持ちに余裕を持ち、馬を信じて騎乗しているように感じました。エーシンヴァーゴウは行きたがるところのある馬なので、直線競馬に向くタイプだと思っていましたが、今回のように鞍上が上手く乗ってあげれば心配ないことが分かりました。
また、セントウルS出走馬で次走に注目したいのが、2着に入った香港馬ラッキーナインです。前の集団を見る形で追走、4コーナーでは上手く内を回って直線猛追。この脚はスプリンターズSの舞台、中山コースでさらに威力を増すことと思います。鞍上のプレブル騎手の手綱捌きも見事で、このコンビはぜひチェックしておきたいですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年9月 7日 (水)

先週の重賞レース回顧 ~新潟・小倉2歳S~

夏競馬も最終を迎え、新潟・小倉競馬場では2歳Sが行われました。

新潟2歳S、優勝は単勝4番人気、柴田善騎手騎乗モンストールでした。
中団に位置し、直線で状態の良い馬場真ん中から抜け出しゴール。ベテランの柴田善騎手ならではの落ち着いた騎乗が光りました。時計は1分33秒8のタイレコードと、かなり高い素質が感じられますね。
ひと昔前の2歳マイル戦の勝ちタイムは、速くても1分35秒台、未勝利や下級条件では36秒・37秒台の決着も珍しくありませんでした。それがいまや33秒台とは、競走馬も昔に比べて格段に進歩しました。
海外のレースに行って好成績をおさめている日本産馬は、生産・育成牧場の努力によって着実に力をつけていますね。

注目していたのは新潟・小倉両2歳Sそれぞれの1番人気馬です。
新潟2歳Sは福永騎手が鞍上のジャスタウェイ、結果は2着。
小倉2歳Sは武豊騎手騎乗マコトリヴァーサルで、こちらも2着でした。
福永騎手は、中団のやや後ろで、18頭立ての多頭数のわりに他馬にもまれることのないところ、上手く1頭で追走できるスペースを確保できたのが良かった。勝った馬と騎手が、今回は僅かに上回ったかなという感じで、評価を下げる負け方ではありません。

対する武豊騎手は好スタートを切ったにも関わらず、少し控え過ぎたのか、レースの流れに上手く乗れていなかったように見えました。
2開催続く競馬、最終週ともなれば馬場は相当荒れており、外に出せば脚が伸びてくるのは誰もが知っていること。武豊騎手も内に入れずに外を回ったのは良いのですが、何となく、レースの流れに逆らって1人で競馬をしている印象を受けました。それと彼の場合、マコトリヴァーサルが末脚をどれだけ使うことができるか、計った乗り方をしていたようにも見えます。先を見据えた騎乗だったのかもしれませんね。
2人に共通する感想としては、1番人気を意識して大事に乗り過ぎたということです。だからともに追い出しが遅くなり、最後の最後、届かなかったのではないでしょうか。
ただ、2頭とも素晴らしい末脚を披露してくれました。負けて強しの内容で、次走につながるレースができたと思います。
次も人気になるでしょうが、やはり馬券の対象としては外せないでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年9月 5日 (月)

秋競馬開幕に向けて…

■新潟から中山へと競馬場が変わる時、ジョッキーが騎乗する際、感覚や乗り方などは異なったりするのか?

□新潟競馬場と中山競馬場は、まず左回りと右回りという大きな違いがあります。さらに、日本一長い直線を持つ新潟に対し、中山は小回りで直線が急坂。たしかにコース形態は全く違いますが、それにより騎手が戸惑うようなことはほとんどないと思います。そもそも、騎手であれば各競馬場の特徴を理解し、それに応じた騎乗をしなければいけません。
とくにこの時期、トップクラスの騎手ともなると、土曜日と日曜日で違う競馬場に移動することもしばし。彼らはそれぞれのコースに合わせた騎乗をして結果を残していかなければ、信頼を得ることができませんからね。

騎手はレース中、皆さんが思う以上に全身を使って騎乗しています。ただ走る馬に跨っているのではなく、スピードを調節するために馬を抑える腕や胸の筋力や、走る馬の上を鐙(あぶみ)一本で乗っていられるバランス感覚や下半身の強さ。さらには、手綱にかかるわずか小指ひとつ分の力の入れ方にも神経を遣っています。そして、レースではハロン棒で距離を確かめ、体内時計でペースを把握しながら状況を判断しています。
これら全てを騎乗技術として身につけているため、騎手はたとえ初めての競馬場であっても極端に戸惑うことなく乗りこなせるのです。それゆえ自分の感覚だけが頼りになりますすが、その自信と才能が無ければ騎手にはなれないと思いますし、騎手ならば皆ができて当然ではないかと思います。もちろん、普段あまり乗らない競馬場よりも慣れている場所の方が乗りやすいのですが、それはただ単に騎乗経験の多少による精神的なものと言えるでしょう。

ちなみに、競走馬にとっても回り方が違う(馬によって得意不得意はある)だけで、景色や直線の長さが違うからといって、レースぶりに変化があるようなことはないと思います。
ただひとつだけ、新潟競馬場の直線1000mを使われた馬に関しては、少し気を付けなければいけません。スタートからひと息で走ってしまうコースなので、その後に行きたがる面が残ってしまうケースがあります。その時は、やや折り合いに苦労することも…。騎手としてはレース前から馬をより落ち着かせておくこと。それと、スタート直後に目一杯追うことだけは絶対に避けています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年8月 | トップページ | 2011年10月 »