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2011年8月

2011年8月31日 (水)

新潟記念のレース回顧

虫の声が、暑かった今年の夏もそろそろ終わりを告げる8月最終週の新潟記念。
前週のレパードSを制した武豊騎手が再び新潟競馬場に参戦し、単勝5番人気ナリタクリスタルを優勝へと導きました。同馬は幸騎手を鞍上に勝利した昨年の同レースに続き、47回目を迎える新潟記念でも初めてとなる連覇を果たしました。
競走馬は、それぞれが大なり小なり「クセ」を持っていますが、例えばレースで、先頭に立ち逃げることで良い味を出すタイプと、先頭に立つと目標を失ったためにソラを使い、能力を出し切れないタイプがいます。
ナリタクリスタルの場合はソラを使うタイプのようで、早めに先頭に立つと気を抜くところがあるらしいのですが、クセを熟知している武豊騎手は、好スタートから先頭になりかけたときに他馬が来るのを待っていた様子。じっとしていたところ、サンライズベガが来たためすんなりと先に行かせました。

逃げた馬のペースはスローで、その2番手につけられたことも勝因の一つでしょう。
さすが武豊騎手だと感じたのは、直線に入っても手応えは十分過ぎるほどであるにもかかわらず、早めに抜け出すことなく我慢していた点です。残り100mあたりから逃げたサンライズベガをクビ差かわしゴール。着差は僅かなものですが、確実に他馬より先にゴールすれば、何馬身つけようと関係ありません。
この僅かな差というのも騎手の腕。先頭に立ちながらもグングンと突き放す追い方はせずに、横の馬と競り合いを演出することで馬に気を抜かせずにレースに集中させていました。

以前、小倉記念でナリタクリスタルに騎乗した武豊騎手について触れたことがあります。
1番人気に支持されながらレースはそれまでより明らかに後方すぎる位置取りで、そのまま鞍上が何もせずに終わってしまったことで、1番人気馬に乗っている騎手の騎乗ではない、勝つための気持ちが感じられなかったと書きましたが、今回は前週のレパードSに続いて、武豊騎手らしい騎乗を見せてもらいました。
若手の台頭や地方出身騎手の活躍で、以前のようには目立っていなかった彼ですが、やはり競馬ファンにとっては絶対的なスターであり、騎乗すれば実力以上の人気を得る騎手。まだまだこれからも、鮮やかな手綱さばきで観る者を魅了させてもらいたいと思います。

そして、3着のセイクリッドバレーに騎乗した丸山騎手も良かったですね。
前走の関屋記念では、小倉記念のナリタクリスタルと同じように1番人気に推されながら5着に敗れましたが、その時の丸山騎手の、最後方に位置し、それでいて末脚勝負に徹するわけでなく、いかにもな早仕掛けで脚を使ってしまった何とも中途半端な騎乗ぶりに不満を覚えました。
この新潟記念は、内側のとても良い位置につけてじっと抑えながら追走、慌てることなくベストのポイントで仕掛け出し、それは丸山騎手が前回のミスをふまえてよく考え、かなり冷静に乗っていたことがわかるものでした。
こうして前回の騎乗を次につなげられることができる若手騎手は、どんどん成長し上達していくはずです。とても楽しみな騎手の一人として見ていきたいと思います。

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2011年8月24日 (水)

レパードSのレース回顧

今年で3回目を迎えたレパードSですが、GⅢに格付けされたのは今年から。
しかし、過去のレースを振り返ると、第1回優勝馬は昨年のジャパンカップダートと今年のフェブラリーSを連勝し、ドバイワールドカップでも2着に好走したダートの王者トランセンド、第2回優勝は地方のダート重賞で活躍中の人気牝馬ミラクルレジェンドがいます。3歳限定戦ということもあり、その年の秋~翌年春に開催されるダート重賞での活躍が見込めるレースとして定着しそうですね。

さて、そんな今年のレパードS。ジャパンダートダービー2着をはじめとし、ダートレースで抜群の安定感を誇るボレアスが、直線一気の差し切りで単勝1番人気の期待に応えました。
末脚を温存するためか、スタート直後から後方待機。仕掛けだしたのは直線に向く少し手前からで、大外に持ち出すと、前にいる馬を鮮やかに抜き去っていきました。鞍上の武豊騎手が新潟まで乗りに来たことも人気の一因でしょうが、その力強い走りは、他馬と比べて一枚も二枚も上の印象を受けます。
ただ、これだけボレアスが強く見えるレースを演出したのは、やはり武豊騎手の腕ですね。まるで計ったようにゴール寸前で差す武豊騎手の騎乗をこれまでに幾度も見てきましたが、今回の新潟の長い直線でも、ゴールまでの距離を正確に把握し、手綱を調節しながら追っているのではないかと思うほど上手い騎乗でした。

こういう騎乗は、経験で得ることが多いのですが、何と言っても「頭」。
頭の良さは、飲み込みの良さや経験を活かす応用力につながり、これは一見、頭など関係ないように見えるスポーツでも何でも、頭が悪ければ成功しないと僕は思っています。また彼の場合、天性のセンスに加えて、スタージョッキーとしての自覚や責任感、プライドを誰よりも持ち、真摯に競馬に向き合って生きてきました。これら全てを重ねた結果、現在の武豊というトップジョッキーがいて、数々の名レースを見せてくれているわけです。

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2011年8月17日 (水)

先週の重賞レース回顧 ~クイーンS・北九州記念~

先週は、札幌競馬場でクイーンS、小倉競馬場では北九州記念が行われました。
まずクイーンS。昨年のオークス馬サンテミリオン、重賞2勝ショウリュウムーン、昨年のクイーンS勝ち馬アプリコットフィズなど、秋のGⅠレースを目標にする牝馬が揃い、メンバー的に面白い一戦となりましたが、そんな中でも前走の勝ちっぷりを買われたアヴェンチュラが実績馬たちをおさえて1番人気に支持され、見事その期待に応えました。
中団を進んで3コーナー過ぎから外側を上がってきましたが、ここで鞍上の池添騎手がすでに尻ムチを使うほどの怪しい手応え。その時点で僕は「負けるだろう…」と正直思ってしまいました。
しかし、直線に向いてからが渋太く、2着のコスモネモシンに一度は抜かれたものの、再び盛り返してゴール。着差以上の強さを感じる勝利でした。斤量が52キロと軽かったとはいえ、並みの馬なら差されて戦意をなくしてしまいそうな場面でも抜き返すタフな根性と身体の強さが、とても印象的でした。

そして、一方の北九州記念ですが、このレースは田辺騎手(エーシンヴァーゴウに騎乗)に注目して見ていました。
美浦所属の騎手が、関西圏で行われる重賞で1番人気馬に騎乗するのは、よくあることではありません。田辺騎手は今年、飛躍的に勝ち星を増やし、一時は関東リーディング1位になるほどの活躍ぶり。栗東の調教師とも信頼関係が築けているのでしょう。

騎手はレースの前日、調整ルームで缶詰状態になります。そこには翌日レース分の競馬新聞が各紙、多数置いてあり、騎手はそれを見て同じレースに出走するメンバーや自分の騎乗する馬の脚質、天候や馬場状態など様々なパターンを予測し、作戦を練ります。
おそらく田辺騎手もこのように考えに考えて、当日はレースに臨んだのでしょう。ですが、このメンバーを見れば、ハイペースになるのは容易に考えられること。それなのに、逃げ争いをしている3頭の直後につけて追走していたことは少し理解できません。

このペースの中を追走し、直線で先頭に出ようとまでしたエーシンヴァーゴウは、力の違いを見せつけた形にはなりましたが、やはり速い流れで脚は残っておらず力尽きての3着。結果、後方で脚をタメていたトウカイミステリーに足をすくわれてしまいました。
トウカイミステリーの鞍上・北村友騎手はデビュー6年目とまだ若手ですが、デビュー年からずっと優秀な成績を挙げています。今回の勝利は展開がハマッたことが大きいとはいえ、8枠15番と外枠ながら、馬を外へ出さずに上手く騎乗していましたね。

対する田辺騎手は、もう少し落ち着いた騎乗をして欲しかったと思います。デビューからちょうど10年目の今年はブレイクし、これだけ勝ち星を挙げている騎手。それでいながら重賞タイトルは、今年になり勝った1つのみ。
この馬に乗るために小倉まで行き、1番人気を背負ったことで、何としても勝ちたいという思い・気負いみたいなものが、もしかしたらレースで焦りとして現れたのかもしれません。改めてこの馬の強さが分かる走りだっただけに、その負け方が悔やまれます。これからまだチャンスはあるでしょうから、今回、どうして負けたのかよく考えて、次に生かしてもらいたいものです。

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2011年8月10日 (水)

関屋記念のレース回顧

先週は関屋記念が行われ、真夏の新潟開催の前半を終えました。
今週末からの開催もきっと、お盆休みなどで多くの人が集まり、競馬場は熱気に包まれることでしょう。

真夏のレースは、馬はもちろん騎手にとっても非常に辛いものです。
ファンの方も暑い日に観戦するのは大変なのでしょうが、現役時代に新潟競馬場でレースをしていて、羨ましく感じることが一つありました。それは冷房の効いた指定席で観戦するファン・・・ではなくて、屋外の空いているスペースにシート等を敷き、30度を軽く越える炎天下のもと、キンキンに冷えたビールを飲む姿です。とくに改装前の2000年以前は、ゴール前の芝の部分がかなり広くてカップルや友達同士など、たくさんのグループで埋め尽されていました。
上半身裸で短パン姿の男性や、水着のように涼しげな格好をした女性たちが仲間とともに、売店で買ってきたビールや焼き鳥や焼きそば、アイスクリームを手に観戦し、興奮が最高潮となるゴール直前はすごい盛り上がりを見せます。新潟の人にとって競馬が開催されるこの2ヶ月間というのは、期間限定のお祭りのようなものかもしれません。
また、GⅠレースが開催される東京・中山などとは違い、新潟のように最高でもGⅢレースしか見られない競馬場でも、夏競馬の楽しみは色々あります。2歳戦を楽しみにする人もいるでしょうし、ローカルならではの雰囲気を味わったり…。新潟競馬場の場合は、レースのバリエーションが豊富なのが特に面白いところ。1000mの直線レースから200m刻みに2400mまでのレースができ(1400mと1600m両方のコースがあるのはローカルでは珍しいこと)、内・外回りがあります。スピード競馬に、直線の追い込みや騎手の仕掛けなど見どころの多い新潟競馬場です。

少し話が逸れてしまいましたので、本題の関屋記念の回顧に戻ります。優勝馬したのはレインボーペガサス、滞在中の函館から同馬に騎乗するために新潟へ来た安藤勝騎手も嬉しい勝利となりました。
その道中は速くもなく遅くもない平均ペースで、その3・4番手の好位につけて上手く脚を溜める形。直線に向いて残り400mあたりから早め先頭に立ち、後続を振り切っての勝利となりましたが、このような形でのレース、騎手は基本的に日本一長い直線の新潟競馬場では、早めに先頭に立つのは嫌なものなんです。
その理由は、自分よりも前に馬がいなくなると闘争心が薄れるため、ソラを使いがちになり、真面目に走らなくなることもしばしばあるからです。それでも、早く追い出して逃げ込みを図ったのは、安藤勝騎手が道中で勝てる手応えを強く感じたからであり、経験豊富なベテランならではの好騎乗といえるでしょう。
レインボーペガサスは3歳の夏の調教中に怪我を負い、数ヵ月後に復帰したものの、それから間もなく屈腱炎を発症し1年以上の休養を余儀なくされました。長い目で見守り、馬とともに困難を克服してきた鮫島調教師の喜びは大きいでしょう。
3歳時には重賞のきさらぎ賞を勝ち、皐月賞4着やダービー5着などの実績からもわかるように能力が高く、6歳ながらまだまだ馬が若いので、秋からのGⅠ戦線でも活躍が期待されますね。

そして、このレースで単勝1番人気に支持されたセイクリッドバレー。鞍上は今年の新潟大賞典を同馬とのコンビで制し、重賞初勝利を果たしたデビュー3年目の丸山元気騎手です。
道中は最後方。もともと追い込み馬なのでこの位置で良いと思いますが、何とも中途半端。後ろから行くのなら、脚を溜められるだけ溜めて、直線勝負に徹する乗り方がベストだったのではないでしょうか。
前を行く馬の手応えが良さそうだったのか、あるいは離されることに不安を持ったのかは分かりませんが、3コーナー過ぎから上がっていったせいで、なし崩しに脚を使ってしまった様子。動いた場所からゴールまで800mも残っていて、そこから動けば最後は余力が無くなり脚は止まることは、騎手なら当然わかっています。
丸山騎手も、今回の敗因は自分の騎乗ミスだと認め、反省していると思います。まだ若い騎手なので、今回の苦い経験も糧にし成長していってもらいたいですね。

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2011年8月 8日 (月)

新潟の直線競馬を斬る!

■直線競馬で競走馬に必要とされる能力や条件
直線競馬で勝つために必要なもの、それは絶対的なスピードです。普通の競馬はコーナーがあるために、多少スピードが落ちますが、直線競馬はそれがありません。いかにスタートしてからすぐにスピードに乗れるかが重要になってきます。
とは言ってもスタートからゴールまで、常に全力のスピードで走り抜くのはかなり無理があり、直線競馬でもどこかで息を入れる必要があります。ただ、それはコーナーのあるコースに比べて、ほんの僅かな間だけしかないのです。
息を入れる時間が少ないのに、直線競馬を最初から最後までスピードで押し切れるような馬なのだから、スタミナとパワーの両方が必要だと思われがちですが、それは少し違います。加えて、キレる脚というのも大して武器にはならないと考えています。
1200m戦などで強い馬というのは、逃げ切り勝ちができるスタミナや追い込んでくる力強さ、あるいは最後に鋭く差してくる末脚が持ち味ですが、それらは全て、道中で息を入れられるスピードに落ちる『間』があるからこそ生まれる武器なのです。例えば、先行して流れに乗り、脚を溜めて最後に爆発させる走りというのは、まさにその典型的な例だと言えます。逆に新潟の直線レースでは、『トップスピード⇒瞬間的に息を入れる⇒すかさずトップギアに戻れる』という、とにかく全体的な脚の速さが求められ、道中での力の使い方が大きく異なってきます。
これらを比較してみた場合、1200m戦で追い込んで勝つような馬にはあまり適さず、却ってバテしまい着順が悪くても、常に前々で競馬ができるようなタイプの馬に、この新潟直線1000mコースは合っているような気がします。

■騎手は直線競馬で騎乗する際、どんな点に気をつけているか
僕が特に気をつけていたことは2点あり、まず1つ目はスタートです。これはどんな距離のレースでも言えることなのですが、騎手はレースに騎乗する際、スタートを最も大事に考えています。特にこの直線1000mにおいては、スタートでミスをするとまず勝てないといっていいほど重要なポイントです。もし出遅れてしまったら、どれだけ追いかけてもトップスピードで駆ける他馬には追いつけません。
そして、もう1つは流れに遅れないこと。直線競馬では、逃げ馬以外の馬も必ず先行集団について行き、絶対に前と離されないようにします。ベストの位置は先頭グループ、もし2番手グループになったとしても、前との距離はいつでも捕まえに行ける1~2馬身差以内。それ以上離れてしまっては、よほど展開が恵まれない限り、差し切るのは非常に困難です。
最後方グループから一気に追い込んで勝つことなど、開幕して最初の週の良馬場ではまず不可能。あるとしたら夏競馬2開催目以降、芝が使い込まれて馬場状態が悪くなってきた時だけでしょう。そんな時には、多少スピードが劣る馬でもチャンスが出てきます。馬券的には注意しておいた方がいいかもしれませんね。

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